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2008年11月30日(日) 08時03分

米シティ 日興信託銀売却へ 週明けにも入札実施産経新聞

 金融危機で経営が悪化している米銀大手シティグループが、日本で傘下の日興シティ信託銀行を売却する方針を固めたことが、29日明らかになった。シティは米政府から総額450億ドル(約4兆3000億円)の公的資金を受け入れ経営再建を急いでいるが、金融危機の余波が日本事業にも波及してきた格好だ。

 週明けにも譲渡先を決める入札が実施され、三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行、みずほ信託銀行などが参加するもようだ。金融危機に伴う経営不振のため、シティは世界で約35万人いる従業員を30万人程度に削減する目標を掲げ、リストラを進めている。今回の日興シティ信託の売却も、経営再建策の一環となる。

 シティは日本事業を強化するため、今年1月に日興コーディアルグループを完全子会社化したばかり。今回売却する日興シティ信託も当初、傘下のシティバンク銀行と統合させる計画だったが、経営不振で方針転換を余儀なくされた。今後も日本での事業売却が進む可能性もありそうだ。

 日興シティ信託は資産管理業務などを手掛け、平成20年9月中間期の業績は、一般企業の売上高に当たる経常収益が前年同期比11・7%減の16億円。今年9月末の従業員は136人という。

 シティは、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連で、世界の金融機関としては最大となる総額約700億ドル(約6兆7000億円)の損失を昨年以降に計上。今年7〜9月期まで4四半期連続の赤字に陥るなど、経営不安が強まっている。

 グループの大幅な人員削減計画に沿う形で日本法人でも、個人向け取引を手掛ける日興コーディアル証券が、40歳以上の従業員を対象にした早期退職の募集や役員の削減を決めるなどリストラが広がっている。

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