記事登録
2008年11月29日(土) 22時19分

金融危機の余波 シティが日興シティ信託銀行売却へ産経新聞

 金融危機で経営が悪化している米銀大手シティグループが、日本傘下の日興シティ信託銀行を売却する方針を固めたことが、29日明らかになった。シティは米政府から450億ドル(約4兆3000億円の公的資金を受け入れ経営再建を急いでいるが、金融危機の余波が日本事業にも波及してきた格好だ。

 週明けにも譲渡先を決める入札が実施され、複数の国内大手信託銀行が参加するもようだ。金融危機に伴う経営不振のため、シティは世界で約35万人いる従業員を30万人程度に削減する目標を掲げ、リストラを急いでいる。今回の信託銀行の売却も経営再建策の一環となる。

 日興シティ信託銀行は資産管理業務などを手掛け、平成20年9月中間期の業績は、一般企業の売上高にあたる経常収益が前年同期比11.7%減の16億円、最終利益は同69.1%減の1億円だった。

 シティは低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連で、世界の金融機関としては最大となる約700億ドル(約6兆7000億円)の損失を計上。今年7〜9月期まで4四半期連続の赤字となるなど、経営不安が強まっている。

 このため、米政府は450億ドルにのぼる公的資金を注入し、経営を圧迫する不良資産の拡大を防いで、金融システム不安の払拭(ふっしょく)を図っている。

 グループの大幅な人員削減計画に沿う形で、日本法人でも個人向け取引を手掛ける国内証券大手の日興コーディアル証券が、40歳以上の従業員を対象に早期退職の募集を始めた。さらに、取締役と執行役員の体制を現在の計34人から29人とし5人削減することを決め、組織のスリム化を進めるなどリストラ策が日本法人にも波及している。

【関連記事】
【経済深層】中小企業が年越しピンチ…貸し渋りで疲弊
税収減対策、ついに「ポルノ税」導入 イタリア
「史上最悪」米クリスマス商戦、早くも悲鳴
【主張】党首討論 すれ違いで終わらせるな
なぜ「10月大暴落」なのか 福島敏雄

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081129-00000550-san-bus_all