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2008年11月29日(土) 22時04分

<ビッグ3>救済策の審議難航 トップの巨額報酬が壁に毎日新聞

 ビッグ3救済策をめぐる米議会の審議は、紛糾の末に結論を12月に持ち越した。存続のための資金支援の必要性は、米政府、民主、共和両党とも一致しているが、議会内の対立は先鋭化する一方。3社に対して12月2日までに経営再建策の提出を求めた上で、再度審議に入る予定だが、支援決定までのハードルは高い。

 ビッグ3救済策についてブッシュ政権は、低公害車生産向けに予算措置されている低利融資250億ドル(約2兆4000億円)の使い道を広げることで対応すべきだと主張している。これに対し、民主党は金融安定化法に基づく公的資金7000億ドル(約67兆円)から250億ドルの融資を認めるよう要求。米政府と共和党が「金融安定化の資金はあくまで金融機関が対象」と強調するのに対し、民主党は「環境対策はあくまで低公害車用。経営支援は別の財布から出す」ことにこだわる。

 支援に前向きな民主党にとって、誤算だったのは、GMのリック・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)らビッグ3首脳が、デトロイトから社有ジェット機でワシントンに乗りつけたことが明るみに出たことだ。もともと「なぜ自動車業界だけ救うのか」(鉄鋼業界団体幹部)といった不満がくすぶっていたところだっただけに、世論の反発が一気に強まった。支援の意向を示しているオバマ次期大統領も首脳陣を「鈍感だ」と批判。「経営陣は普通の人々がどんな状況に置かれているかが見えていない」と切り捨てた。

 支援に消極的な共和党内からは「(日本の民事再生法に当たる)連邦破産法11条の適用を受けて出直すべきだ」(シェルビー議員)とさらに厳しい意見も飛び出し、議会審議を滞らせることにつながった。

 審議の行方はビッグ3各社が提出する再建策の中身次第。大規模なリストラを盛り込まなければ、支援の実現は難しい。12月4、5日には、上下院で首脳出席が見込まれる公聴会が予定されている。だが、フォードは27億2000万ドル(約2600億円)もの損失を出した07年、ムラリー社長兼CEOに2167万ドル(約20億7000万円)の報酬を支払ったものの、見直しの意向は表明していない。巨額報酬にこだわり続ければ、救済策への世論の批判はますます高まり、審議が暗礁に乗り上げるのは必至だ。【ワシントン斉藤信宏】

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