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2008年11月29日(土) 21時39分

<パキスタン>ISI長官訪印を撤回 軍統制の弱さ露呈毎日新聞

 【バンコク栗田慎一】パキスタン政府は28日、ギラニ首相とシン・インド首相との電話協議で合意した、インド同時多発テロ事件の背景解明に向けたパシャ・パキスタン軍情報機関(ISI)長官訪印について、その数時間後に「長官の代理を訪印させる」との声明を発表し、合意を事実上取り消した。

 ISIは「国家内の国家」と呼ばれるほど強大な権限を持ち、政府の統制も及びにくい。歴史的な印パ対立の中で、対印工作を主任務とし、インド側はたびたびイスラム過激派やテロ事件とのかかわりを非難してきた。ISIにとって長官訪印は「敵の本陣」に大将を送り込むようなもので、それが政府に勝手に決められたことに、激しい拒否反応を示した可能性が強い。

 ギラニ首相は、テロ事件によるインドとの関係悪化を避けるため、長官訪印を受け入れる積極姿勢を示した。だがその後の朝令暮改ぶりは、自国軍に対する理解や統制力の弱さを浮き彫りにし、インド側は逆に不信感を募らせたとみられる。

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