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2008年11月29日(土) 12時28分

メディア界の救世主「違法動画摘発ソフト」を開発 読売テレビ 産経新聞

 インターネットの動画投稿サイトでテレビ番組などの映像が無断掲載され、各局を悩ませていた問題で、読売テレビ(大阪市)が開発した違法映像を効率的に検索し削除要請するソフトウエアが、他局にも採用され、高い評価を得ている。今秋からはアニメ業界などにも提供され、メディア界の“救世主”となっている。

 開発されたソフトは「とりし丸」。広大な海に例えられるネットの世界で、横行する海賊版(違法映像)を退治する船をイメージして命名された。昨年3月に読売テレビで運用を始め、違法動画の摘発に抜群の威力を発揮。昨秋から他局でも相次いで導入された。

 「YouTube」をはじめとする動画投稿サイトでは、テレビ番組や市販DVDなどの著作権を侵害する違法投稿が蔓延(まんえん)。著作権を保持するメディア側はこれまで、違法映像を手作業で一つ一つ探し出さねばならず、対処法も運営サイトに対し、ネット上の住所に当たるURLを通報・削除要請するしかなかった。

 そんな状況の中、読売テレビ技術局の谷知紀英主査(36)が昨年1月、開発に着手。違法画像を検索するスタッフの意見を取り入れながら改良を重ね、同3月に実用化させた。

 「とりし丸」の最大のポイントは、違法画像の題名に付けられたキーワードを入力するだけで、違法画像のURLを最大1000件まで自動的に特定できる簡便さ。削除要請メールを作成し、サイト側にまとめて送信。要請を受けたサイト側は違法画像を自主的に削除する。このソフトを利用することで違法画像の摘発の効率は飛躍的に向上したという。

 「とりし丸」は昨年9月、放送文化基金賞個人・グループ部門の放送技術など放送関係で4つの賞を受賞。今秋からはネット上でソフトを提供し、放送局だけでなく映画やゲーム業界も関心を寄せている。

 メディアの著作権に詳しい早稲田大の亀山渉教授(情報通信工学)の話 「投稿動画サイトは新しいIT文化の創造と同時に、違法映像の野放しを助長した。著作権者は断固たる対応が必要不可欠で、新ソフト『とりし丸』の効果は注目に値する。一方で一般ユーザーに権利意識を啓蒙(けいもう)し、著作物を正規に閲覧できるネット社会の形成にも貢献するのではないか」

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