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2008年11月28日(金) 13時49分

布団をリサイクル 「打ち直し」、時代とともに減少産経新聞

 秋から冬へ移り変わり、衣替えとともに、布団の入れ替えも必要になってきた。これを機会に、新しく買い替える人もいるだろうが、不要になって、ごみとして捨てた布団がどうなっているか、知っていますか? 布団リサイクルの現状を追った。

 「数年おきに、家中の布団を打ち直しに出してくださるお客さんもいるんですよ」。こう話すのは、東京都江東区で「さわだや寝具店」を営む沢田清子さんだ。国家資格の寝具製作技能士1級を持つ沢田さんによると、敷布団の寿命はおよそ3年。寝ている間に出る汗などを吸い続けて木綿綿(わた)の弾力性と吸湿性が失われ、風邪をひきやすくもなる。

 客から預かった布団は、製綿(めん)工場に出され、いったん繊維状にバラバラにされて選別を受け、綿(わた)として再利用できる繊維だけが布団綿に加工される。再利用された綿は若干黄ばんでいるものの、オゾンを使った脱臭、除菌を施すことにより、衛生面では新品の綿と比べても遜色(そんしょく)のない仕上がりになるという。一方、再利用できないとして取り除かれた綿の分量だけ、沢田さんの店で補充される。

 沢田さんの敷布団作りは、和布団の特徴である中央がかさ高になるように長方形の綿を縦横に重ね、袋状に縫った生地でくるむと一段落する。作業はおよそ30分ほどだ。

 沢田さんは「結婚や一人暮らしをきっかけに、昔は布団を新調し、大事に打ち直しながら使う文化があった。化学繊維の布団が流行し、ベッドが増え、羽毛布団も普及した。まだ使える布団も捨てられるようになった」と残念がる。

 布団がごみに変わって久しい。東京23区で粗大ごみとして捨てられた布団の枚数は、平成15〜17年度までは50万台で推移していたが、18年度には62万近くに上った。回収にあたる東京二十三区清掃一部事務組合によると、布団は細かく裁断して埋設処分するという。

 全国的にみると、布団の処分方法は、燃やさず埋めたり、体積を減らすために焼却したり、業者に依頼したりする場合もある。しかし、全国で毎年、どの程度の量の布団がごみに出されているかを示す資料はない。環境省の統計項目に布団がないため、自主的に調べている自治体以外は総量も分からないというのが実態だ。(日野稚子)

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