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2008年11月28日(金) 10時30分

定額給付金、いつ開始かは不透明 「制限撤回」で再び迷走産経新聞

 所得制限の是非などで迷走した定額給付金は、麻生太郎首相の実施表明から約1カ月をへた28日、ようやく初めて素案が示された。しかし、一般の人がいつ給付金を手にすることができるのかという最大の関心事の先行きは不透明なままだ。

 総額2兆円規模の給付金の財源を裏付ける第2次補正予算案の国会提出は来年1月に先送りされるのが確実となっている。「ねじれ国会」の参院で、給付金を「バラマキ」と批判する民主党などが反対すれば、補正予算成立は3月中旬以降となる可能性もあり、政府が目指す「年度内実施」に黄信号がともることになる。

 総務省が最後まで悩んだのは、政府・与党が合意した所得制限の扱いだった。高額所得者への支給に反対する与謝野馨経済財政担当相と、スピードを重視して「制限なし」を主張する鳩山邦夫総務相らの間で見解が分かれる迷走ぶりを演じた。その後も全国町村会が窓口や事務作業の混乱を理由に、制限を設けることへの反対を表明。政府・与党が制限を設けることで落ち着いた以上、制度設計を進める総務省幹部は「所得制限を設けないとは言えず、『設けないことを基本とする』がギリギリの表現だった」と振り返る。しかし、結局は事実上の所得制限撤回で、またもや政府の混迷ぶりを印象づけることとなった。

 素案は「あくまでたたき台」という位置づけだが、住所不定者など「本当にお金を必要とする人に行き届くのか」といった課題は多く残る。9年前に実施された地域振興券(総額約6200億円)と比べれば、規模や対象人数も大きく、市町村にとっては「原則全世帯で本人確認した上での口座振り込み」という未体験の作業が待っている。給付開始までしばらく混乱は続きそうだ。

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