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2008年11月28日(金) 10時39分

裁判員制度、第一歩 候補者に名簿記載通知を発送産経新聞

 裁判員制度、事実上の第一歩−。最高裁は28日、来年5月スタートの裁判員制度で、裁判員候補者の名簿に記載されたことを知らせる通知を発送した。通知は名簿に載った全国約29万5000人に封筒で届けられる。今回通知が届かなければ、原則として来年中は裁判員に選ばれない。通知は29日から届きはじめ、12月1日にはほとんどの地域に配達される見込み。

 裁判員候補者名簿は、市区町村の選挙管理委員会が選挙人名簿からくじで選んだ「候補者リスト」をもとに各地方裁判所が作成。

 この日発送された通知書は、この名簿に載り、裁判員に選ばれる可能性があることを知らせることが目的。封筒には、裁判員になれない職業に就いていないかなどを尋ねる「調査票」と回答するためのマークシート、裁判員制度を紹介する漫画の小冊子、パンフレットが同封されている。

 通知を受け取った段階ではまだ裁判員になると決まったわけではなく、あくまでも「候補者」。しかし、個人を特定できるかたちで候補者になったことを不特定多数に向けて公にしてはならないなど、守秘義務は課せられる。

 通知に同封された調査票では、自衛官や警察職員といった裁判員になれない職業に就いていないか、また、70歳以上や学生、病気やケガといった理由で辞退を申し立てるかどうかを尋ねるもの。仕事の都合や出産、介護のため、裁判員になることが難しい特定の月がある場合も申告できる。回答の期限は12月半ば。裁判員を務めるのに差し支えがなければ回答する必要はない。

 各地裁は、来年5月以降に起訴された裁判員裁判の対象となる殺人や強盗致死傷、現住建造物放火といった事件ごとに、裁判のおよそ6週間前に、候補者名簿からくじで選んだ候補者に「呼出状」と「質問票」を送付。この質問票でも理由があれば、辞退を申し立てられる。その後、裁判長による質問などを経て、6人の裁判員が選ばれることになる。実際の裁判員裁判が開かれるのは7月以降とみられる。

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 この日は午前9時前から、東京都中央区銀座の郵便事業会社銀座支店に通知を積んだ大型トラックが到着。1台あたり、約3万通の通知が積み込まれており、荷台の扉が開けられると、かご付きの台車に入った封筒が続々と建物内に運び込まれていった。

 同支店で取材に応じた最高裁事務総局の平木正洋総括参事官は「通知が届くと驚かれるかもしれませんが、法律の専門家ではなく、国民みんなが参加することに意義がある制度ですので理解してほしい。来年5月まで、みなさんの不安や疑問を解消できるように活動していきたい」などと話した。

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