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2008年11月28日(金) 11時20分

<裁判員>最高裁も不安抱え第一歩 候補者へ通知毎日新聞

 裁判員候補者への通知が28日に一斉発送され、国民の司法参加がいよいよ現実になってきた。しかし裁判員制度への理解が進んでいるとは言えず、早ければ29日にも届く通知を国民がどう受け止めるかは未知数だ。最高裁は不安を抱えながら、制度に向けた第一歩を踏み出した。【北村和巳】

 ■疑問に答える

 29日から2カ月間設置される候補者専用のコールセンター。最高裁は12月中旬までは問い合わせが殺到するとみて、裁判所職員OBらのオペレーター約150人で対応する。500以上の想定問答を用意して直前まで研修を進めた。

 「辞退できるのか?」「なぜ、こんな制度をやるんだ?」−−。パソコンの検索も利用しながら回答する。リーダー役の坂内健吾さん(27)は「想定外の問い合わせが来るかもしれない。通知の意図が伝わるよう説明したい」と表情を引き締める。

 制度への問い合わせは、国民の意識を知るバロメーター。全国の地裁には8月から課長補佐級の「裁判員調整官」が置かれた。問い合わせや裁判員応対の責任者になる。

 通知が入った封筒が次々と東京・銀座の日本郵便支店に運び込まれるのを眺めながら、最高裁刑事局の平木正洋・総括参事官は「ここまで、あっという間だった。国民の不安や疑問を解消できるよう、さらに準備を進めたい」と語った。

 ■他人に話せる?

 裁判員法は「何人も候補者の個人情報を公にしてはならない」と定める。候補者が通知を受け取ったことを、不特定多数に明かすことは禁じられている。

 会社の同僚、家族、親しい知人に話すことは全く構わない。今後のスケジュール調整に必要なため、上司が報告を求めてもいい。インターネットに実名で書き込んだり、集会で話すことは禁止。居酒屋で話のネタにするのは状況によりそうだ。

 違反しても罰則はないが、最高裁刑事局は「裁判員への不当な働きかけや脅迫などを防ぐための措置」と理解を求めている。

 ■反対も根強く

 弁護士や学者らでつくる団体「裁判員制度はいらない!大運動」は22日、東京で反対集会を開き、赤坂や銀座を200人余りがデモ行進。「人を裁くことを押し付けるな」「国民の8割は制度に反対している」と訴えた。27日には「通知が届いたら最高裁に対し、勝手に名前が登録されたことを抗議しよう」との声明を発表した。

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