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2008年11月27日(木) 14時36分

秋葉原殺傷、無線交錯で救命混乱…トリアージ搬送に課題読売新聞

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、死傷した17人の救命救急活動を検証してきた「事後検証委員会」(委員長・山本保博東京臨海病院院長)がまとめた最終報告で、無線が交錯して現場が混乱したため、病院に搬送するまでの時間が延びた点などを問題点として指摘することがわかった。

 東京消防庁は今回の調査結果を受け、救命救急活動基準の見直しなどに取り組む方針。

 患者の容体によって搬送の優先順位を決める「トリアージ」が活用されたケースで、全搬送者の救急活動が詳細に検証されるのは異例で、医療関係者などでつくられた検証委は28日にも、調査結果を公表する。

 報告で指摘される問題点は、〈1〉大量の救急隊が活動したため無線が交錯し、救急隊員が走って情報を伝達するしかなかったケースがあった〈2〉警察による現場規制で、結果的に一部の救急車が被害者に近づけなかった〈3〉救急車が現場近くにいたのに、事件とは無関係の軽傷患者を搬送中だったため、活動に加わることができなかった−−など。

 この事件では、トリアージで「最優先での搬送が必要」と判定された7人のうち、少なくとも2人が病院に到着するまで約1時間を要したことが読売新聞社の調査でわかっている。検証委によると、報告で指摘する問題点が複合的に積み重なった結果、搬送時間の短縮を妨げた可能性があるとみている。

 一方、報告では、死者7人を含む17人についての救急活動は、容体の判定などの面で問題はなかったと評価。「最優先の搬送が必要」と判断されながら死亡した2人についても「救命は不可能だった」と結論づけている。

 検証作業は事件直後の6月末から始められ、救急隊員や救命医らからのヒアリングを通じ、患者一人ひとりについて、救命措置や救急搬送に要した時間が適切だったかなどを慎重に検討してきた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081127-00000027-yom-soci