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2008年11月27日(木) 08時38分

<インド同時テロ>日本人2人も死傷…ムンバイで86人死亡毎日新聞

 【ニューデリー支局】インド最大の経済都市ムンバイで26日夜、市中心部のターミナル駅や高級ホテルなどを狙った武装グループによる襲撃事件が発生。ロイター通信などによると、少なくとも8カ所で86人が死亡、250人が負傷した。銃撃戦に巻き込まれた三井丸紅液化ガス社員、津田尚志さん(38)が腹部などを撃たれて死亡、同僚の男性も軽傷を負った。イスラム武装組織を名乗るグループが犯行声明を出し、インド経済の中枢部を狙ったイスラム過激派による連続多発テロ事件の可能性が強まっている。

 同通信によると、襲撃は26日午後10時(日本時間27日午前1時半)ごろに始まり、小銃や手投げ弾で武装した集団が、市内中心部のチャトラパティ・シバジ駅、タージマハル・ホテル、オベロイ・ホテルなどの超高級ホテルなどを相次いで襲撃した。

 武装グループはその後、タージマハルとオベロイの2カ所のホテルに人質を取り立てこもった。グループは米国人と英国人を探していたとの目撃情報もある。タージマハル・ホテルでは事件後、最上階付近で火災が発生。警察当局は銃撃戦で武装グループ4人を射殺し9人を拘束したが、依然一部が立てこもりを続けている模様だ。

 地元テレビによると、犯行声明を出したのは「デカン・ムジャヒディン」(南部のイスラム聖戦士)を名乗るグループ。組織の実態や背後関係は不明だが、インド北部カシミールの分離・独立を求め、これまでもインド国内でテロ事件を繰り返してきたイスラム過激派が関連している可能性もある。

 ムンバイでは06年7月、国鉄で通勤する地元ビジネスマンを狙った同時多発爆破テロがあり、約190人が死亡した。今回の事件は外国人や地元の富裕層に利用が限られる超高級ホテルが狙われていることから、インド経済の成長を担う外国人ビジネスマンなどが狙われた可能性が強い。

 日本の外務省によると、ムンバイの在留邦人は約230人。また出張や観光で約30人の日本人が滞在していたとみられ、現地の日本総領事館が安否確認を急いでいる。

 ◇ムンバイ

 英国植民地時代から貿易港として栄えたインドの商業・経済の中心地。マハラシュトラ州の州都で人口約1200万人。商社や銀行など日本企業約60社が進出している。映画産業も盛んで、旧名のボンベイと米国ハリウッドを合わせて「ボリウッド」と呼ばれる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081127-00000016-mai-int