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2008年11月27日(木) 12時24分

暴力行為と深刻化するネットいじめに対策をツカサネット新聞

全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が07年度、前年度比18.2%増で過去最多の5万2756件に上ったことが、「問題行動」に関する文部科学省の調査で分かった。小中高すべてが過去最多で、特に小学校は前年度に比べ37.1%も増えた。いじめの認知件数は前年度より減少したが、依然10万件を超え、深刻化しているという。世代別では、中学校が3万6803件、高校1万739件、小学校5214件。中でも、小学校は前年度から37%も増えており、「キレる」傾向が一段と裏付けられた。

新たな問題として、携帯電話のインターネットサイトなどが関係した「ネットいじめ」は、前年度比2割増の5900件に達した。「学校裏サイト」などのホームページやネット上の自己紹介サイト「プロフ」を使って、個人を中傷するケースが多いという。書き込み内容を巡るトラブルも目立ち、殺人、傷害事件にまで発展するケースも少なくない。

ネットいじめは、本人が知らないところで中傷されるのが特徴で、学校側が把握しにくい。このため、ネットの正しい使い方などを教える情報モラル教育に取り組む学校も増えている。文科省も教員向けのネットいじめ対応マニュアルを約8万部作成、来月中に全国の国公私立の全小中高校に2部ずつ配布する。

いじめも年々、低年齢化し、かなり陰湿になっていると言える。特にインターネットの普及に伴って、それらは、さらに加速しているようだ。暴力事件の多発の陰には、自分の感情をうまくコントロールできない子供が増加しているのではないだろうか。何が正しくて、何が間違っているのかを考えることなく、自分中心で物事を考え、相手を思いやる意識が足りない。またコミュニケーション不足のため、言葉で相手に気持ちを伝えることができずに先に手が出てしまうといったケースもある。

ただ素直に「ごめん」と言えば済むことが、なぜ暴力になってしまうのか。これは、家庭教育にも大きな問題があるように思う。親子の関係が希薄になっていると言われる現代で、親子の会話がなさすぎるのではないか、親の勝手な思いを子供に押しつけるあまり、子供は気持ちの行き場を失って、それをうまく言葉にできないまま鬱積し、自分よりも弱い者への暴力として発散させてしまっているのではないかと思うのである。親として子供を押さえつけるのではなく、対等な立場に立って話し合うという機会が圧倒的に少ないのではないだろうか。

学校は、社会の縮図であると思う。混沌とする世の中で苦しんでいるのは、何も大人だけではない。子供は、もっと繊細な神経を持って世の中を見ている。大人の姿もシビアな目で見つめている。様々な理不尽な事件、事故が多発しているが、それらは不安や不信、疎外感の発露として繰り返される。見えない暴力が横行し、それを黙過しようとする大人達のするさや風潮がある世の中で、単なる調査結果として見るのではなく、さらにその底に隠れた実態に目を向け、子供達に一番近い場所である学校や家庭がその対策を真剣に講じていく必要がある。


(記者:halfmoon)

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