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2008年11月26日(水) 13時53分

オウム真理教 破産手続きが終結 被害者配当総額15億円毎日新聞

 オウム真理教の破産手続きで、最後の債権者集会が26日、東京地裁(佐村浩之裁判長)で開かれた。元日本弁護士連合会会長で破産管財人の阿部三郎弁護士(82)は、被害者への配当総額が約15億4270万円であることを報告した。債務総額(約38億円)に占める配当率は40.39%。これで96年3月に始まった破産手続きは終了した。

 17回目となる集会で阿部管財人が、6月に実施された最終配当が約7868万円だったことを報告。裁判所による救済手続きの終結を伝えた。

 配当総額に被害者救済法(6月成立)に基づき国から支払う給付金約8億円を合わせても、約15億円の被害が残る。今後は、裁判手続きとは別に被害者以外の債権者から債権を譲り受け配当を進めている「オウム真理教犯罪被害者支援機構」(理事長・宇都宮健児弁護士)が救済業務を行う。【銭場裕司】

 ◇管財人奮闘12年、「救済法」を実現

 被害者への配当は約4割にとどまったが、被害者救済法の成立にこぎ着けた。「実績を残すことができ管財人冥利に尽きる」。12年8カ月に及ぶ破産手続きを終えた阿部三郎弁護士は笑顔を見せた。

 相手は前例のない事件を起こした教団。身に危険が及ぶ可能性もあったが「被害者救済に、あらゆる努力を尽くす」との思いで奔走してきた。

 手続きが異例の長期に及んだのは、配当をできる限り高めようと手を尽くしたためだった。国に債権を放棄させたり、市民向けのバザーを開き、教団に残っていたのこぎりや金づち、生活用品などを売却したこともある。

 債権回収に限界が見えた昨秋からは「被害回復はまだ道半ば」と法整備の必要性を訴え救済法を実現した。集会後の会見では地下鉄サリン事件被害者遺族の高橋シズヱさん(61)から「感謝をこめて」と刻まれた楯を贈られ、「光栄です」とほっとした表情を見せた。今後も被害者支援機構メンバーとして救済を手伝うという。【銭場裕司】

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