記事登録
2008年11月25日(火) 00時00分

《4》参加意識 制度浸透続く努力読売新聞

富山地裁高岡支部職員が、住民を対象に行った裁判員制度の講習会(9日正午、高岡市鐘紡町のアカシアニュータウン公民館で)

 「裁判員として法廷に臨むときの服装は」「被告と知り合いだったらどうするのか」。高岡市鐘紡町の公民館で今月9日、地区の住民約20人が参加した裁判員制度の講習会で、地裁高岡支部の職員に活発な質問が出た。自治会長の荒木武さん(72)は「最近の凶悪事件の続発で、裁判への関心が高まっている。制度に協力したい」と高い関心を示していた。

 地裁は昨年1月から今年10月、職員が70回の出張講義を実施し、県民約2800人に説明した。地検も約300回も説明会を行ってきたほか、法曹3者が富山市の中心商店街でイベントを開くなど広報を懸命に続ける。

 地検の新倉明検事正が7月、富山市内で講演したタウンミーティングにも約600人が参加。模擬裁判の参加者も「最初は辞退したかったが、模擬裁判を体験して、裁判員として参加したくなった」と言う声もあり、参加した県民の関心はおおむね高いといえそうだ。

      ◎

 しかし、最高裁が今年4月に公表した「裁判員制度に関する意識調査」では、必ずしも県民全体の裁判への参加意識が高くない結果が出ている。

 調査は1〜2月、全国の成人計1万500人を選び、面接方式で「制度を知っているか」「参加したいか」などを質問。その結果、制度が始まることを知っている県民は90%と、全国平均とほぼ同じだったが、「裁判員に法律の知識は不要」であることは、全国平均より11・1ポイント低い36・7%など、制度に関する知識が軒並み全国平均よりも低かった。

 さらに、制度に「参加したい」と「参加してもよい」を合わせた割合が11%(全国平均15・5%)と低く、「義務なら参加せざるを得ない」「義務であっても参加したくない」の合計は87・2%(同82・4%)。地裁関係者は「制度に対する知識不足が消極的な姿勢につながっている」と推測する。

 説明会などでは、「素人の裁判員が、人を裁くのが不安」といった意見も出る。地裁総務課は、「当日、何人が欠席するのか、つかめないので、多めに見積もっている」として、独自に裁判所に呼ぶ裁判員候補者を50〜100人程と幅を持たせた。

 こうした不安に対し、富山地裁の岩井隆義・総括判事は「裁くのは人ではなく罪。必要以上に重く考えず、被告が行った行為を検討するという意識で臨むのが良い」と語った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/feature/toyama1227279936308_02/news/20081124-OYT8T00680.htm