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2008年11月25日(火) 11時43分

Palm が人員削減を発表japan.internet.com

アナリストがスマートフォンメーカー Palm の評価を引き下げ、自力での生き残りは難しいとの見通しを示す中、同社は21日に人員削減の計画を明らかにした。

3か月前には最新ハイエンド機種『Treo Pro』をリリースした同社だったが、ここにきて人員削減が発表された。これまでもマーケットシェアの下落と赤字の拡大に苦しんできた Palm が現在の景気後退の状況を乗り切れるのかを疑問視するアナリストたちからは、悲観的なコメントが相次いだ。

Strategy Analytics の Wireless Device Strategies 部門ディレクタを務める Neil Mawston 氏は取材に対し「Palm は数年前の段階ではスマートフォン端末市場でも先進的な企業だったが、その後の動きが遅すぎて当初の勢いを生かすことに失敗した」と指摘した。

通信および携帯アナリストの Carmi Levy 氏は取材に応え、今後売上の伸びが見込めないようでは、破産の申請も視野に入ってくるとの考えを示した。

「(台湾の端末メーカーの) HTC は技術には定評があるもののブランドを持っていないので、Palm のブランドを手に入れれば同社にとってメリットとなる可能性がある」と Levy 氏は語った。

また、Mawston 氏は、Palm が今後積極的に経営の立て直しを図ろうとするなら、革新的な端末以上のものが必要になるだろうと考えている。

「Palm は差別化要素に欠けており、Nokia のようなグローバルな展開や Apple のような秀逸なデザイン、HTC のような各通信事業者に合わせたカスタマイズ、『Blackberry』のような使いやすい Eメール サービスなどを持たない」と Mawston 氏は語り、Palm は少なくとも速やかにフラッグシップとなる製品を市場に送り出す必要があると付け加えた。

Palm は、人員削減の具体的数には触れなかったものの、取材に対して短い声明を出し、世界的な経済不況による需要減に同社の『Centro』製品シリーズの成熟化や『Windows Mobile』を搭載した新機種開発の遅れなどが重なり、今回の人員削減に至ったと述べている。リストラは米国および各国における事業規模縮小につながるという。

人員削減の発表と業界アナリストからの悲観的なコメントは、一時は業界の最先端にいたスマートフォン メーカーの Palm が、いかに急速に落ち込んでいったかを示している。

現在1050人の従業員がいる Palm は、PDA 製品『Palm Pilot』の人気に乗り、1990年代後半から2000年代初めにかけて有名メーカーに躍り出た。同社の端末はデザインも良く小型で、コンピュータ上の予定表を同期できる機能はビジネス ユーザーに大いに好評を博した。当時の Palm には現在の Apple ファンのような強い愛着心をもつ支持者が続々と生まれていた。

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