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2008年11月24日(月) 03時16分

隣人へ「黙れ」…小泉容疑者、自宅周辺でトラブル絶えず読売新聞

 元厚生次官宅襲撃事件を巡り、23日、銃刀法違反容疑で逮捕された小泉毅(たけし)容疑者(46)(さいたま市北区)は、自宅周辺で数多くのトラブルを起こしていた。

 近所の工事を巡って建築会社の社長宅を突き止め、押し掛ける。アパートの隣人へ「黙れ」とどなり込む……。22日夜に警視庁に出頭した際、事件について「以前飼っていたペットを保健所に殺され、腹が立っていた」と話した小泉容疑者。動機に関する不可解な供述と、ささいなことで激高する性格は、事件とどう結びつくのか。

 「お前が社長か。おれの生活を侵害している」

 さいたま市の建築会社の3階にある会議室に突然、乱入してきた男はフルフェースのヘルメットを振り回しながら、机を何度もたたき、社長に罵声(ばせい)を浴びせた。2003年冬のことだ。男は小泉容疑者。顔は紅潮していた。

 この会社は当時、小泉容疑者が1998年から住むアパート周辺で建物の新築工事を進めていた。小泉容疑者は、騒音を理由に工事中止を要求してきたという。この日はいったん引き下がった小泉容疑者は、翌年3月、深夜に社長宅に電話をかけてきた。

 「おい、電話に出ろ。起きてんやろ。お前が、おれに嫌がらせをする悪の根源か。ただじゃおけんからな。覚えておけ」。家人が電話に出ないと、留守番電話に脅迫ともとれるこんなメッセージを吹き込んだ。

 数日後の深夜、バイクのクラクションが社長の自宅前でけたたましく鳴った。小泉容疑者が社長の名前を連呼しながら「出てこい」とどなりちらしていた。通報で警察官が駆けつけると、「作業員に自転車のタイヤをパンクさせられた」と一方的にまくし立てたという。しかし、これを最後に嫌がらせはやんだ。

 22日夜、小泉容疑者の名前がテレビで報道されると、社長は当時を鮮明に思い出した。「なぜ自分の家の電話番号や住所がわかったのか。一つ間違えれば、もっとひどいことになっていたかも知れない」

 自宅近くの住民によると、小泉容疑者はほかにもトラブルが絶えなかった。勧誘などの訪問業者を「帰れ」とどなりつけることもしばしば。強圧的な態度で一方的に難癖をつけることが多く、周辺住民から恐れられていた。

 94年頃に約1年間暮らした広島市内のマンションの隣室に住んでいた女性も、「電話したり音楽を聴いたりするだけで、壁をガンガンたたかれ、『うるさい』『黙れ』とどなり込まれて怖かった」と振り返った。

 小泉容疑者は警視庁に出頭する直前の22日午後6時半ごろ、それまで話したこともなかったアパート階下の住人の部屋を突然訪ね、「これ、いらないからあげる」と言って5枚のアダルトDVDを手渡した。

 自宅アパートの大家の男性によると、小泉容疑者の部屋は6畳2間に台所、風呂、トイレ付き。家賃は月6万2000円で、滞納は一度もなかったという。

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 クレーム対応のコンサルタント会社を経営する援川(えんかわ)聡さん(52)は、クレーマーを「自己顕示欲と劣等感が強く、自分の問題を企業やマスコミ、役所などのせいにする『せいだ病』に取り付かれている人物」と説明。

 小泉容疑者が「以前飼っていたペットを保健所に殺されて腹が立った」などと供述していることについて、「不満をためている人間が『ペットを殺されたことがすべてのきっかけ』などと通常では考えられないような責任転嫁をするのはよくあること」と話す。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081124-00000003-yom-soci