記事登録
2008年11月24日(月) 00時00分

元次官夫妻殺害で再逮捕へ 足跡と刃渡り一致中国新聞

 元厚生次官ら連続殺傷事件を捜査している警視庁は二十三日未明、銃刀法違反(携帯)の疑いで、「事務次官を殺した」と言って同庁本部に出頭したさいたま市北区東大成町、無職小泉毅こいずみ・たけし容疑者(46)を逮捕した。連続殺傷事件への関与を認めており、埼玉県警が近く、さいたま市の元次官山口剛彦やまぐち・たけひこさん(66)夫妻の殺人容疑で再逮捕する方針。

 警察当局は、事件の重大性から夫妻殺害事件の解決を最優先させる方向で協議、銃刀法違反事件の捜査を進めながら最終判断する。合同捜査本部の設置も検討している。

 警察当局によると、小泉容疑者が関与を認めた夫妻殺害の供述に矛盾がなく、現場の足跡と小泉容疑者が所持していたスニーカーの靴底がほぼ一致。遺体の傷から割り出した刃渡りも、押収した中の血が付いたナイフ一本と一致したという。

 警視庁と埼玉県警は二十三日、中野区の元次官吉原健二よしはら・けんじさん(76)の妻靖子やすこさん(72)に対する殺人未遂容疑で、小泉容疑者宅を家宅捜索した。

 警視庁によると、小泉容疑者は二十二日午後九時二十分ごろ、東京・霞が関の警視庁本部玄関に車で出頭。警視庁は二十三日午前二時四十五分に逮捕した。「昔、保健所にペットを殺され腹が立った」と話したという。

 逮捕容疑は、乗り付けた車の中で、刃渡り約二十センチの血の付いたナイフ一本を携帯した疑い。警視庁はこのナイフが連続殺傷に使われたとみて、血痕の鑑定を急ぐ。

 ナイフは後部座席の足元の巾着袋に入れられ、片刃で柄の部分まで血が付着。車内からは血の付いた手袋やサバイバルナイフのほか、吉原さんあての配達伝票が張られた段ボール箱やスニーカー、作業用ジャンパーなどが見つかった。

 小泉容疑者は柳井市出身。地元の小中高校を経て佐賀県の大学に進んだ。父親(77)によると、東京、横浜、山口県内で働いた後、約十年前から埼玉県に居住。宅配便のアルバイトの経験もある。小学校時代に飼い犬が保健所で処分されたことがあったという。

 連続殺傷事件は十八日午前、山口さん夫妻が自宅で刺殺されているのが見つかり、同日夜、吉原さん宅で靖子さんが刺され、重傷を負った。

 警視庁によると、吉原さん宅周辺の足跡と小泉容疑者の別のスニーカーの靴底もほぼ一致。同容疑者は靖子さん襲撃についてもほのめかしているという。

【写真説明】銃刀法違反容疑で逮捕され、東京・麹町署から警視庁に移される小泉毅容疑者(中央)=23日午前4時3分

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811240049.html