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2008年11月24日(月) 22時46分

事故米不正転売 有識者会議で「厚労省の責任論」、省側は反発産経新聞

 事故米をめぐる不正転売問題の原因検証を進めている第三者委員会「有識者会議」(座長・但木敬一前検事総長)で、事故米が食用に流通したことについて、食品衛生法(食衛法)を所管する厚生労働省の責任を問う声が高まっている。もともと農林水産省の責任を検証してきた同会議だが、最近になって委員から「厚労省も不正がないかよく確認すべきだった」という意見が噴出。これに対して厚労省側が反発している。会議は今週、第1次調査報告書をまとめるが、厚労省の責任を盛り込むか注目される。

 「厚労省の認識が甘い。『責任がある』とはっきり言う必要がある」

 今月20日の有識者会議。報告書案の審議中に、委員の1人がこう主張した。

 厚労省は平成19年の輸入検疫で、残留農薬アセタミプリドが基準値を超えた事故米を発見。輸入元の農水省は食用としての購入を中止したため、事故米は非食用として米加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)に販売されたが、その後、食用として不正転売された。委員はこうした経緯から「厚労省も食用に転売されていないか、よく確認すべきだった」と指摘した。

 これをきっかけに、委員らが厚労省の責任論を議論すると、会議に出席していた同省幹部が猛然と反論を始めた。

 「非食用とされた時点で食衛法の適用外。当時、そこまで考えるのは無理」

 厚労省側は「非食用として販売されたことを書類で確認しており、三笠への食衛法に基づく立ち入り調査などはできなかった」という“持論”を展開。しかし、委員からは責任を問う厳しい意見が相次いだ。

 報告書に責任を明記するかはその場で結論は出ず、但木座長に一任されたが、たとえ責任論が盛り込まれても、厚労省幹部は「会議は厚労省側の責任論や処分を前提にした場ではない」と、処分などは受け入れない構えだ。職員の処分も含めて、報告書を全面的に受け入れる方針の農水省とは、態度に大きな差がある。

 厚労省のある幹部は「事故米は一度、農水省の管轄下に入っている。その管理態勢を、うちに疑えといわれても困る」と話す。一方、農水省のある幹部は「われわれは事故米問題で批判を受け、法律上の限界があろうがなかろうが、食の安全問題から逃げてはならないことを思い知らされた。厚労省は、まだそのレベルまできていない」と皮肉った。

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