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2008年11月24日(月) 22時43分

駒大、立正大…金融危機の波、有名私大を直撃 資産運用で損失産経新聞

 世界的な金融危機は、国内の私立大にも大きな影響を及ぼしている。駒沢大学は、デリバティブ(金融派生商品)取引で約154億円の損失を出したことで、キャンパスの土地建物を担保に融資を受ける事態に陥っている。金融取引による資産運用をしている大学も少なくなく、その多くで含み損が発生しているとみられる。(福田哲士)

 少子化や「大学全入時代」の到来で経営が厳しくなっていることに加え、低金利が続いたことが、各大学で金融取引での資産運用に拍車をかけていた。日本私立学校振興・共済事業団によると、全国の大学・短大約650校のうち、少なくとも75校がデリバティブ取引を行っているという。

 駒沢大は、デリバティブの「金利スワップ」「通貨スワップ」の2種を外資系金融機関と契約。今年3月期決算での評価損は約53億円だったが、金融危機で含み損が発生。追い証を求められたため、契約を解除した結果、損失額は約154億円にのぼった。

 含み損を発生させている大学は少なくない。立正大では、今月9月末時点で約148億円の含み損が判明。札幌大でも約20億円が含み損となっているとみられる。しかし、多くの大学は、長期保有を目的とした仕組み債で資産運用していることから、駒沢大のように、現時点で評価損を計上してはいない。

 私学の雄、慶応大の運用資産は平成20年3月期決算で約225億円の評価損を計上している。同大では「現時点での評価損は変わっていない」としている。

 もう一方の私学の雄、早稲田大も3月期決算では約5億円の評価損だった。同大は「デリバティブは購入していない。今、保有している有価証券を売却すれば損失が出るかもしれないが、長期保有が目的なので損失は計上していない」と説明する。

 こうした状況に、文部科学省では手の打ちようがないのが現状だ。同省では「大学の資産運用に規制はなく、自らの責任で運用するのが原則」と説明する。塩谷立(りゅう)文科相は「他にも事例が出てきた場合は、実態調査の必要がある」との見解を示し、資産運用の規制については「実態をみて考えなければならない」としている。

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