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2008年11月24日(月) 21時37分

<米シティ>1.9兆円を追加注入 損失の一部、政府が負担毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米政府と連邦準備制度理事会(FRB)は23日、経営危機に陥っている米金融大手シティグループへの新たな救済策をまとめた。公的資金200億ドル(1.9兆円)の追加資本注入のほか、シティの保有する不良資産(総額3060億ドル=約29兆円)から将来発生する損失の一部を政府が負担、保証する。米政府はシティの経営不安の長期化が世界の金融システムに悪影響を与える恐れが強いと判断。政府支援で、経営不安の一掃を図る。

 シティは既に、金融安定化法に基づき、米政府から250億ドルの公的資金による資本注入を受けており、今回の救済策で資本注入額は総額450億ドル(約4.3兆円)に達し、米銀最大になる。

 救済策によると、証券化商品などの不良資産から発生する損失について、シティがまず290億ドルまで負担する。それ以上の損失が出た場合、政府が90%を負担する。また、追加注入は政府による優先株引き受けの形で行われる。優先株には年8%の配当を課す。

 シティはこれまでに全従業員35万人の15%にあたる約5万3000人の大規模な人員削減の方針を発表している。今回の救済策に伴い、役員の報酬額に上限を設定することや、普通株の配当を今後3年間、1株当たり1セント以下に抑えることも決める。

 シティは、08年7〜9月期決算で4四半期連続となる28億1500万ドルの大幅赤字を計上。証券化商品などの評価損や個人向けカードローンの焦げ付きに伴う損失などが93億ドルに膨らみ、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡む損失は675億ドルと欧米金融機関では最大規模になっていた。今年5月には、今後2〜3年で4000億ドル規模の不採算事業を売却するなどの経営再建策を発表したが、金融危機の影響などで業績悪化が続いていた。

 【ことば】▽シティグループ▽ 米ニューヨーク市に本社を置く世界最大級の総合金融機関で、100カ国以上で銀行、証券業務やクレジットカード事業などを展開。顧客の口座数は計約2億に上る。1812年創業で、1998年の米金融大手トラベラーズ・グループとの経営統合などで規模を拡大。日本市場には明治期の1902年に進出し、2008年に日興コーディアルグループを完全子会社化した。

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