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2008年11月24日(月) 10時00分

特別賞の少女に夢の贈りもの中国新聞

 「グラウンドを自分の足で歩いてみたい」。エッセーに願いを込めた広島市佐伯区の広島中央特別支援学校中学部1年網本万里奈さん(13)が23日、広島市民球場(中区)の黒土を踏みしめた。「ALL—INエッセー大賞」の表彰式。視力を失った少女はジュニア特別賞を獲得し、夢をかなえた。

 万里奈さんは、母のいずみさん(47)と手をつなぎ、一塁側ベンチから本塁ベースまで歩を進めた。副賞は、自らが希望した前田健太投手のサインボール。マーティー・ブラウン監督から手渡され、握手を交わした。思わぬプレゼントが待っていた。ブラウン監督が1年間かぶった自分の帽子を贈ったのだ。

 「監督の手は頑丈そうで温かかった」「学校のグラウンドより固かった」。式の後、緊張の表情を緩めた万里奈さんはうれしそうに言った。万里奈さんは幼少時に視力を失う。今も年に数回、東京都内に通院する。病気の現実を受け入れられなかった小学部時代、気持ちを和らげてくれたのが、両親と兄が大ファンのカープ。「ラジオ中継が何よりの楽しみ」になっていった。

 この日、ブラウン監督が、頭にかぶせてくれた帽子。ひさしには、その場で「Be happy!」(幸せになってね)の文字も書き込まれた。

【写真説明】ブラウン監督(手前)と握手する万里奈さん。母のいずみさんが寄り添った

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200811240012.html