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2008年11月24日(月) 18時43分

国連本部が禁煙決議…でも実現は煙の中?産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】オフィスなど屋内の公共スペースが全面禁煙となっているニューヨーク市で“治外法権”となっていた国連本部ビルが禁煙に向けた準備を始めている。本部ビルでの禁煙を求める国連総会決議が全会一致で採択されたためだが、総会決議に拘束力はないうえに決議の存在を知らない外交官もおり、効力への疑問もくすぶっている。

 会議場が連なる国連地下にある「ウィーン・カフェ」。会議や交渉の合間に国連外交官や職員らが紫煙をくゆらせる愛煙家憩いの場だ。

 昼食後の一服を楽しんでいた欧州の外交官は禁煙決議採択を「全く知らなかった」と話し、「決議が本当に実行されるかは疑問だ。数年前にも似たような試みがあったけど、挫折している。(拘束力のある)安全保障理事会の決議なら違うのだろうけど」と笑い、こう付け加えた。

 「皮肉なことに、ウィーン市内でも禁煙政策は成功していないと聞いている。名前が同じだから、ここもそうなるのでは」

 3日に採択された決議は受動喫煙の健康への危険性に言及。国連本部内の全面禁煙の実施とたばこ販売の禁止を勧告するとし、潘基文事務総長に来年9月からの次期国連総会で実施状況を報告するよう要請した。

 ニューヨーク市が屋内の公共スペースを全面禁煙としたのは2003年だが、国際領域とみなされている国連内には適用されない。それでも当時のアナン事務総長は本部内の全面禁煙に踏み切ったが、愛煙家の外交官や国連職員はあちこちに貼(は)られた「禁煙」のポスターを無視していた。

 ラウンジで交渉相手を待ちながらスパスパやっていたドイツの外交官は「禁煙決議?多少厳しくなるかもしれないけど、徹底はしないと思う」と断言した。 

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081124-00000526-san-int