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2008年11月23日(日) 02時32分

<元次官宅襲撃>「殺した」男出頭…「吉原あて」箱所持毎日新聞

 ◇銃刀法違反容疑で逮捕へ

 22日午後9時20分ごろ、東京都千代田区霞が関2の警視庁本部庁舎玄関に、中年の男が軽乗用車で乗り付け、警戒中だった機動隊員に「元事務次官を殺した」と話した。車内に中野区の元厚生事務次官、吉原健二さん(76)あての段ボール箱があり、血の付いたナイフを含む刃物数本を持っていた。警視庁麹町署は銃刀法違反の疑いで逮捕状を請求し、元事務次官宅連続襲撃事件と関連があるとみて追及する。

 ◇「小泉毅46歳」名乗る

 警察当局によると、男は「さいたま市北区の小泉毅。46歳」と名乗り、所持しているスニーカーが中野の現場の足跡とほぼ一致しているという。

 出頭したとき、全長約30センチ、刃渡り約20センチの血の付いたナイフのほかサバイバルナイフ数本を持っていた。車は川越ナンバーのレンタカーだった。住民票も持っていたという。

 事件は今月18日に発覚した。同日午前10時15分ごろ、さいたま市南区の元厚生事務次官、山口剛彦さん(66)方で、山口さんと妻美知子さん(61)が胸などを刺されて死亡しているのを親せきが見つけた。約8時間後には、中野区の吉原さん宅で、妻靖子さん(72)が宅配業者を装った男に刃物で刺されて重傷を負った。

 その後の調べで、山口さん方の玄関に印鑑が落ちていたことが分かり、さいたま市の事件でも犯人が宅配業者を装っていた可能性が浮上した。いずれの事件も夕方の時間帯に起きたとみられるほか、凶器に刃物が使われるなど、手口に共通点が多いことから、警視庁と埼玉県警は共同捜査本部を設置し捜査を進めていた。

 山口さんと吉原さんは、旧厚生省時代にともに年金局長を務めるなど、経歴に共通点が多く、現在の年金制度の骨格を作った85年の制度改正にも携わっていた。

 このため、事件直後から背景に年金制度への不満があるとの見方も出ていた。

 厚生労働省は事件翌日から、金属探知機を使って本庁に出入りする一般来庁者の所持品を検査するなど警備を強化。各地の警察も管内に住む厚労省の歴代幹部らの自宅周辺を24時間態勢で警備するなど、警戒を強めていた。

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