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2008年11月23日(日) 00時00分

就職活動へ不安 内定取り消し、求人減相次ぐ読売新聞


就職面接会に参加した生徒や企業の採用担当者ら(21日、宮崎市で)
九州・山口の学生 「新たに見つけるのは難しい」

 米国に端を発した金融危機などによる景気後退が、九州・山口の学生の就職にも影を落とし始めた。ここ数年、団塊世代の大量退職で「売り手市場」と言われてきたが、一転して内定を取り消したり、求人数を減らしたりする企業が相次いでおり、学生や大学、高校の就職担当者らは「この時期に取り消されたら、新たに見つけるのは難しい」「就職が決まらない生徒も出かねない」と不安を隠せないでいる。

 「申し訳ないが、新卒者の採用は見送ることになった」。10月下旬、福岡市内の私立大4年の男子学生(22)は、6月に内定を受けた東京の建設会社に呼び出され、こう告げられた。渡された文書には「原材料費の高騰などで業績が予想以上に厳しくなった」とあった。

 学生は「ショックで頭が真っ白になった。会社から裏切られた気持ち」と肩を落とす。大学には学生2人から内定を取り消されたとの連絡が入っている。

 同市の別の私立大も学生2人から内定取り消しの報告を受けている。このうち女子学生(22)は9月末、同市内の不動産会社から内定を取り消された。通知文書には「サブプライムローン問題で業績が急激に悪化した」と書いてあった。学生は就職活動を再開したものの、内定先は見つかっていない。

 熊本市の崇城大では今月、女子大学院生1人が長崎市のサービス業の会社から、経営破綻(はたん)を理由に内定を取り消された。別の会社への就職が決まったが、同大は「年末にかけて経営状況が悪化する企業が増える可能性もある」としている。

 高校の就職戦線も厳しさを増している。宮崎県立宮崎商高では、10月末の求人数が450件で、前年同期より25件減った。昨年の今ごろは約70人の就職先が決まっていたが、今年は50人程度。田代晃一・進路指導部長は「約30人の就職先が未定。就職が決まらない生徒が出る恐れもあり長期戦になりそうだ」と心配する。

 宮崎県などは21日に宮崎市で高校生向けの就職面接会を開いたが、参加企業は53社にとどまり、昨年より17社減った。参加した同県内のある金属部品メーカーは、「6人」だった採用予定者数を「2、3人」に減らしており、採用担当者は「盆明けから受注が減り、今は以前の4割ほどしかない」と窮状を説明する。

 こうした厳しい状況に、学校側も取り組みを強化している。山口県立萩商工高の梅津晋一・進路指導主任は「企業訪問をして売り込んだり、生徒に資格取得を勧めてレベルアップを図ったりして、より多くの求人獲得を目指している」としている。山口県では、学生2人の内定取り消しが判明したとして、今月14日に県と県教委、山口労働局が連名で、県内2500社に内定を取り消さないよう要請する文書を送っている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/kishimu/kishimu081123.htm