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2008年11月23日(日) 00時11分

「血痕ある」捜査員緊張 軽乗用車を調べる中国新聞

 「元次官を殺した」。二十二日夜、東京・霞が関の警視庁正面にレンタカーで乗り付けた男は警察官にこう告げた。血の付いた刃物とスニーカーも所持。男は元厚生事務次官ら連続殺傷事件の犯人なのか。さいたま市の元次官山口剛彦さん(66)夫妻の殺害が発覚し、東京都中野区の元次官吉原健二さん(76)宅が襲撃されてから四日。事件は一気に急転回する様相をみせた。

 「血痕がある」。警視庁の正門玄関近くに斜めに乗り付けられた軽乗用車。その周りに捜査員らが次々と緊張した表情で足早に集まった。一様に緊張した表情。一気に空気が張り詰めた。

 暗闇の中、捜査員らが車内に照明を当て、中の様子を慎重に調べる。ボンネットにはタオルが掛けられていたが、複数の角度から写真を撮影するため、タオルをどける。

 川越ナンバーの軽乗用車が照明に照らし出される。ナンバーの「わ」の文字からレンタカーとみられる。

 記者は乗用車のそばにいたが、緊張した面持ちの警察官に「規制線の外に出るように」と指示される。周辺には当直の記者ら報道陣がすぐに集まり、あっという間に人だかりができた。

 すぐに軽乗用車は青いビニールシートに覆われた。周辺に次々と捜査員らが集まる。午後十時四十五分ごろには、レッカー車が到着。捜査員らが軽乗用車を運びだそうと作業を始めた。

 ▽麹町署は騒然

 男の身柄が移された警視庁麹町署には、同庁刑事部の平山幸雄参事官や捜査一課の立延哲夫課長ら捜査幹部らが続々と車で乗り付け、慌ただしく同署に駆け込んだ。同じころから報道陣は百人以上に膨れ上がり、テレビ局のライトが署の建物を照らし出すなど騒然とした雰囲気に包まれた。

 午後十時二十分ごろ、同署に到着した立延哲夫捜査一課長は「逮捕したのか」などと問いかける報道陣に対し、硬い表情で「まだ分からない」などと答え、報道陣を振り切るように署内の階段を駆け上がって行った。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811230077.html