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2008年11月23日(日) 00時11分

外国の不公正貿易に対抗 財務省、来年4月から中国新聞

 不当に価格が安いなどの外国製品流入による国内企業の被害拡大を防ぐため、財務省は企業からの反ダンピング(不当廉売)関税など特殊関税の申請手続きの緩和を検討していることが二十二日、分かった。被害を受ける懸念がある業種は半導体や鉄鋼、繊維など幅広く、企業が特殊関税の発動を申請しやすくするなど、使い勝手を良くし、外国の不公正貿易に対抗する。

 十二月に関税・外国為替等審議会(財務相の諮問機関)の答申を受け、政令を改正、来年四月から実施を目指す。ただ、金融危機の影響で貿易縮小が懸念される中、特殊関税の適用を受けたことがある中国や韓国などが反発する可能性もある。

 現在は日本企業や業界が特殊関税の発動を申請する時点で、相手国の業者の不当廉売などによって損害を受けていることなどを示す証拠をそろえる必要がある。四月以降は基本的に申請を受け付け、発動の是非の調査を始めるまでに証拠をそろえればよいことにする。

 申請のための手引書を作成。調査開始後に関係企業に送る「質問状」のひな型を公開するなど、調査手続きの透明化にも取り組む。

 日本は一九九三年に初めて中国などの合金鉄の一種を対象に反ダンピング関税を発動して以来、相殺関税、報復関税、緊急関税を含め特殊関税を計七件発動するにとどまり、主要国の中では少ない。これに対し、世界貿易機関(WTO)によると、日本企業は九五年以降に米国などから百件以上の反ダンピング関税の適用を受け、不均衡が著しい。

 「やられっぱなし」の現状を是正するため、経済界は申請の仕組みが「迅速性や柔軟性に欠ける」として改善を要望。関税・外為審がワーキンググループ(座長・小寺彰東大大学院教授)を設置し、これまでの調査や発動の経験を踏まえ、見直しを検討していた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811230075.html