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2008年11月23日(日) 22時35分

日米に姿勢のずれも 次回6カ国協議に向け中国新聞

 【リマ23日共同】アジア太平洋経済協力会議(APEC)を機にペルーのリマで二十二日に開かれた日米韓首脳会談では、北朝鮮核問題をめぐる六カ国協議を来月上旬に再開する意向が確認された。米朝が核計画申告の検証方法で十月に合意したことを文書にまとめ、六カ国が「検証議定書」の形で承認することが最大の目標となるが、ブッシュ政権の任期切れを控えた米側と、厳格な検証を求める日本の間には姿勢のずれも目立つ。

 「北朝鮮との口約束なんて何の意味もない」。ヒル米国務次官補が十月に訪朝して合意をとりまとめた後、日本政府筋が口にした心配が裏付けられたのが今月十二日。北朝鮮が応じたと米国が説明してきた核施設からのサンプル採取について、真っ向から否定する立場を北朝鮮が表明した。

 六カ国協議参加国の中で、検証の文書化で一番厳しい姿勢を見せているのは日本。サンプル採取という文言を明示するよう、再三米側にくぎを刺してきた。

 だがぎりぎりの交渉を重ねてきた米側は「必要な検証を行えると確信している」(ヒル次官補)と繰り返すのみ。検証問題や寧辺の無能力化を仕上げ、核放棄に向けた「第三段階」の議論に入れるよう、来年一月に誕生するオバマ次期政権に“きれいな形”で核問題を引き継ぐことが最重要課題となっている。

 北朝鮮は「物証」を他国に手渡すことに慎重で「ウラン濃縮の痕跡があったなどと、われわれが事実を“捏造ねつぞう”するとの不信感がある」と米当局者。検証担当のデサッター国務次官補はイラク戦争時から現職ということもあり、米英が大量破壊兵器疑惑を口実に開始したイラク戦争の前例を、北朝鮮は非常に気にしているという。

 ヒル次官補は二十五日、ワシントンで日本首席代表の斎木昭隆外務省アジア大洋州局長と会談予定。協議再開を前に、日米間で最後の詰めが実施される。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811230222.html