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2008年11月23日(日) 00時38分

元次官宅襲撃 男出頭…緊迫の麹町署、警視庁幹部ら続々毎日新聞

 車内の血痕、バッグの中の刃物。「小泉毅」と名乗る男は何者か。元厚生事務次官宅連続襲撃事件で22日夜、自分がやったと男が警視庁に名乗り出た。最初の襲撃から6日目、事件は大きく動いた。いったい何を狙った襲撃だったのか。年金や厚生労働行政への不満なのか。男が移送された東京都千代田区の麹町署は極度の緊張に包まれた。

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 男が出頭したとの一報を受け、警視庁麹町署には100人近くの報道陣が詰めかけた。警視庁の捜査員が慌ただしく出入りするなど騒然とした雰囲気に包まれた。「まだなにもわからない」と言いながら立延哲夫・捜査一課長ら幹部も続々と詰めかけた。

 殺害されたさいたま市南区の山口剛彦さん(66)夫妻の自宅周辺では、住民らが驚きの声を上げた。

 妻美知子さん(61)と同じ書道クラブに通い、隣に住む主婦(59)は「報道を見てほっとした。本当の犯人かまだ発表はないけれど、このまま解決してくれればいい。ご夫婦は本当に無念だったと思う」と話した。

 美知子さんに英語を習っていたという私立中教諭の男性(28)は「やさしくて上品な方でした。でも命は戻らない。それ以上の言葉が今は出ない」と語った。事件の夜に、山口さんとみられる男性のうめき声を聞いたという隣のマンションの男性会社員(30)は「夜になるとうめき声を思い出し2、3日眠れなかった。ホッとした思いです」と話した。

 事件後、身辺警戒を強いられてきた厚生労働省の職員も、速報をかたずをのんで見つめた。人事課では、過去5年間に懲戒免職処分を受けた元職員をリストアップしていたが「コイズミの名はなかった」という。

 休日出勤していた厚労省社会援護局の男性職員(40)は「事件後は緊張した日々で、なるべく外にでないようしていた。ただ、複数犯だったりしたらまだ安心できない。一刻も早く全容が解明されることを期待したい」と話した。 自宅のテレビのテロップで男の出頭を知った厚労省キャリアは「背景がまだ分からないので安心はできないが、来年度予算などでこれから仕事が忙しくなる時期なので正直ほっとした。今後はとにかく仕事に集中したい」と話した。

 「家族まで標的になった今回の事件は本当にやりきれない。行政への不満が背景なのか分からないが、犯人固有の、その人間なりの問題があったのだと思う」。自宅にいた社保庁出身の別の幹部もこう語り、「年金記録問題はこれとは別。事件は絶対許されないが、年金問題の解決に影響があってはならない」と強調した。

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