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2008年11月22日(土) 10時19分

ノキア参入…「携帯鎖国」に巨人が風穴読売新聞

 世界最大手の携帯端末メーカー、ノキア(フィンランド)の国内携帯電話事業への参入は、これまで通信会社中心に発展してきた日本の携帯電話ビジネスが、端末メーカー主導へ転換するきっかけとなる可能性を秘めている。

 日本の携帯電話会社や端末メーカーの戦略にも影響を与えるのは必至だ。(白櫨正一、山本貴徳)

 ◆攻勢◆

 ノキアは世界の携帯電話市場で4割近いシェア(占有率)があるが、日本では1%程度とみられる。ノキアは高級端末でブランドイメージを高め、日本市場でシェア拡大を目指す足場を構築する戦略とみられる。

 消費者の要求水準が高く、高機能端末がよく売れる日本市場は、海外勢にとって利幅の大きい魅力的な市場と映り、攻勢が続いている。今年7月には、米アップル社がソフトバンクモバイルを通じて「アイフォーン・3G」を日本市場に投入した。中国や台湾メーカーも攻勢をかけている。

 インターネット検索最大手米グーグルが開発した携帯電話用の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した携帯電話も来年6月をめどにNTTドコモが発売する方針だ。

 ◆期待◆

 「MVNO(仮想移動体通信事業者)」は、事業参入に当たって自前で通信網を整備する必要がないため初期費用が安い。回線を貸す側の既存の携帯電話会社にとっても、使っていない周波数帯を貸し出すことで収益に結びつけられる。

 しかし、回線の貸借を巡る条件の不透明さや技術的な障壁などから、2001年に日本通信が初めてデータ通信サービスに参入したものの、参入例はわずかだった。このため総務省は02年に参入条件などを示し、手続きを明確にした。さらに07年9月に回線を貸し出す際の料金を透明化した。

 08年3月に、米ウォルト・ディズニーがソフトバンクモバイルの回線を使って音声通信に参入するなど、最近になってようやく利用は広がってきた。

 総務省が新規参入を後押ししているのは、閉鎖的な国内市場の活性化を図るためだ。日本携帯市場では既存の携帯電話会社が通信網の敷設や端末の開発・販売などを支配し、提供するサービスが画一化していた。

 ノキアがメーカー主導という新たな手法で一定の顧客獲得に成功すれば、既存の携帯会社も従来のビジネスモデルを見直す契機となる。MVNOとして追随するメーカーも出てくれば、消費者にとっては多様なサービスを選択する機会が増えることは確実だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081122-00000013-yom-bus_all