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2008年11月22日(土) 02時31分

<雇用促進住宅>「存続を」住民、1万人署名提出毎日新聞

 独立行政法人の雇用・能力開発機構が運営する賃貸住宅「雇用促進住宅」が2021年度までに全廃される。機構側は住民に退去を求め始めているが、入居者には独居老人や母子家庭など「生活弱者」が多く、行き場を失うことに不安の声が上がっている。長野県須坂市の小山、豊丘宿舎の代表が21日上京し、舛添要一厚生労働相あてに1万人分の署名簿を提出するなど、存続を求める動きも出始めた。

 促進住宅(宿舎)は北海道から九州・沖縄まで全国1500カ所に点在し、約10万世帯が暮らす。うち780カ所が11年度までに前倒しで廃止されるが、住民側に伝えられたのは今年5月に入ってからだった。

 「いきなり出て行けなんて、せつないねえ」。豊丘宿舎(80戸)に30年以上暮らす駒津勇さん(74)は言う。昨年9月に交通事故に遭い左目と右足が不自由に。独り暮らしのため、週2回の介護ヘルパーと、近隣住民の手助けが頼り。家賃は月2万〜3万円。「年金暮らしなので、家賃が高い民間住宅には住めない。公営住宅に入居できるかどうか……」と不安が募る。

 01年に閣議決定した特殊法人の合理化によって機構は再編を迫られ、宿舎については地方自治体や民間業者へ譲渡を打診しているが、財政問題などを理由に断った自治体もある。【大平明日香】

 ▽斎藤文男・九州大名誉教授(憲法・行政法)の話 行革の影の部分で、弱者にしわ寄せがきている。機構側は居住者の生活をどう守るのか。代替措置を講じ、説明を尽くすべきだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081122-00000013-mai-soci