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2008年11月22日(土) 02時31分

<経団連>春闘…雇用安定を最優先 09年方針毎日新聞

 09年春闘で経営側の指針となる日本経団連の「経営労働政策委員会報告」の原案が21日、明らかになった。金融危機の影響で「世界経済は同時不況の様相」にあると、強い危機感を表明したうえで、春闘への対応では「雇用の安定を最優先する」と明記した。前年の報告では賃上げ容認の姿勢を打ち出したが、今年は経営環境の厳しさを強調する内容となった。

 報告案では、まず世界経済の情勢について「回復には少なくとも数年を要することも覚悟する必要がある」と指摘。日本経済も「当面、内外需ともけん引材料が全く見当たらない状況で、回復までに相当の期間を要する」と分析した。09年春闘への基本姿勢では「経営環境がとりわけ厳しい今次の労使交渉では、雇用の安定を最優先する」との立場を鮮明にした。

 前年の報告では「付加価値額の増加額の一部は、総額人件費改定の原資とする」と、賃上げ容認を明言していた。しかし、今回の報告案は「原資とすることが考えられる」と表現を弱め、「個別企業でも一律的なベースアップは考えにくい」と強調した。

 連合は09年春闘で「物価上昇分に見合う賃金改善」を求める方針を示しているが、経団連の報告案は「自社の支払い能力に即すのが大原則で、物価変動は賃金決定の要素にならない」と反論している。経団連は会長・副会長らでさらに協議を進め、12月中旬に報告書を発表する方針だ。【谷川貴史】

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