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2008年11月22日(土) 01時43分

元厚生次官ら連続殺傷、凶器、同種刃物か 20センチ程度の短刀類産経新聞

 元厚生次官ら連続殺傷事件で、さいたま市の山口剛彦さん(66)夫妻殺害で使われた凶器が、刃渡り20センチ程度の片刃の刃物であることが21日、埼玉県警の調べで分かった。短刀のような刃物で、刃こぼれしていなかったことも新たに判明。犯人が強い殺意を持って殺傷能力の高い凶器を使ったことがうかがえる。傷の状況から、東京都中野区の吉原健二さん(76)の妻が刺された刃物と同種の可能性があり、県警と警視庁の捜査本部は刃物の種類の特定を進めている。

 県警によると、山口さんは心臓や左脇腹、背中など6カ所を刺された。妻の美知子さん(61)は胸など2カ所を刺され、うち1カ所は深さ16・5センチに達していた。傷の状況から、凶器は刃渡り17〜20センチ程度の刃物と分かった。

 刃は細長く、背の部分が厚い短刀のようなもので、刃こぼれしておらず、刃先が折れてもいなかった。刺し傷の中には肋骨(ろっこつ)まで達しているものもあったが、夫妻の体内には刃物の破片などは残されていなかったという。

 一方、警視庁によると、吉原さんの妻、靖子さん(72)は心臓の脇や背中の右部分など数カ所を刺され、肋骨の間を通って肺まで達する深い刺し傷もあった。傷口の大きさは2〜5センチ程度という。

 傷の状況から、捜査本部は2つの事件で同種の刃物が使われた可能性があるとみている。山口さんや靖子さんが犯人から向かって体の左側を中心に刺されていることから、両事件とも犯人が右利きの可能性が高いという。

 山口さん夫妻を殺害した犯人が履いていた靴は靴底が東南アジアで製造され、国内で加工されたスニーカーだったことも埼玉県警の調べで新たに分かった。サイズは26センチ前後の靴ひもタイプ。大量生産され、全国のディスカウントストアなどで販売されている。県警は犯人の生活圏を絞り込むため、靴の流通ルートを調べている。

 また、山口さん宅からは36個の指紋が採取されたが、犯人のものとみられる指紋はなかった。軍手などから繊維が採取される手袋痕もなく、県警は手袋痕が出ないビニール製の手袋などを使った可能性があるとみて調べている。

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