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2008年11月22日(土) 06時03分

犯人の足跡は中国製スニーカー…元厚生次官ら連続殺傷スポーツ報知

 元厚生次官ら連続殺傷事件で埼玉県警は21日、殺害された山口剛彦さん(66)宅=さいたま市=の室内に残された足跡などから、犯人が履いていた靴は、中国で靴底が製造された靴ひもタイプのスニーカーと断定した。また、吉原健二さん(76)宅=東京都中野区=で妻・靖子さん(72)が襲われた事件の約7時間前、吉原さん宅から約130メートル離れた路上で、不審な男が乗るワンボックスカーが目撃されていたことが分かった。警視庁は、犯人が下見をした可能性もあるとみている。

 調べでは、山口さん宅の玄関や台所などに残っていた足跡は、靴底の模様が比較的鮮明だった。県警が割り出した中国製の靴底と照合したところ、模様が一致。サイズは26センチ前後だった。

 この靴底は大量生産され、4種類の靴ひもタイプのスニーカーに加工されており、同じ製品が全国に広く流通されているという。山口さん宅からは、犯人のものとみられる指紋は採取されなかった。

 警察犬を使った捜査では、犯人の足取りが、山口さん宅前からいったん西に向かい、突き当たりを南下。大通りを東に曲がった先で途絶えていることが判明。近くのJR埼京線の高架下付近には駐車場があり、県警は、犯人が付近まで歩いた後、電車ではなく止めてあった車で逃げた可能性もあるとみている。

 吉原さんの妻・靖子さんが襲われた事件では、別の靴底のスニーカーが使用されており、警視庁と埼玉県警は手口などから、同一犯が靴を履き替えて犯行に及んだとみている。

 また、靖子さんが襲われた事件の約7時間前にあたる18日午前11時半ごろ、吉原さん宅から約130メートル南の路上に、野球帽をかぶった20〜30代の男が乗る黒っぽいワンボックスカーが目撃されていたことが分かった。

 車は、吉原さん宅から約80メートルにわたり血痕が残っていた道路の延長線上にあった。血痕が消え、警察犬も犯人のにおいを追跡できなくなったのと、ほぼ同じ地点だった。警視庁は、犯人が下見をしたうえ、付近に逃走用の車を止めて犯行に及んだ可能性もあるとみている。同じ道路上では、事件前日と直前にも、黒いワンボックスカーが止まっていたとの情報が2件ある。

 現場は住宅街の一方通行の道路で、目撃者(48)は「道幅が狭いところに邪魔だと思った。普段は見かけない車だった」と話している。男の帽子は、つばの部分が角張った特徴があったという。

 靖子さんは警視庁の事情聴取に、宅配業者を装っていた犯人が持っていた箱は段ボール箱だったと話している。ただ「犯人の顔を覚えていない」と証言しており、警視庁は一家の顔見知りによる犯行の可能性は低いとみて、現場の遺留品や目撃者捜しに全力を挙げる。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081122-OHT1T00083.htm