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2008年11月22日(土) 06時03分

元祖サムライJAPANがカナダに存在した…1914年結成「バンクーバー朝日軍」スポーツ報知

著書「バンクーバー朝日軍」に登場する父・フルモト投手の写真を、誇らしげに見せるテッドさん

 “元祖サムライJAPAN”が戦前のカナダに存在していた! 来年3月に開催される第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のスタッフ会議が21日、開かれたが、日本のプロ野球誕生より、20年も前の1914年に、日の丸を背負い、北米大陸でプレーした日系人チームがあった。その名も「バンクーバー朝日軍」。初代エース、テディ・フルモト投手の長男、テッド・Y・フルモトさん(60)が、その“大和魂”を伝え、WBC日本代表にエールを送った。

 日本のプロ野球の始まりは、巨人の前身、大日本東京野球倶楽部(愛称・東京ジャイアンツ)で、1934年の創設。バンクーバー朝日軍は、その20年前の1914年、カナダ(バンクーバー)のリトルトーキョーで日系2世らによって結成された。

 朝日軍は、地元のインターナショナル・リーグ、ターミナル・リーグ、パシフィック・ノースウエスト・リーグなどを制覇した実績を見込まれ、35年、東京ジャイアンツの北米遠征の相手を務めた(結果は2敗)。

 「残念ながら、この歴史は日本ではあまり語られておらず、知らない人が多い」と朝日軍初代エース、フルモト投手の長男・テッドさん。41年、太平洋戦争の開戦と同時に、カナダのリトルトーキョーは崩壊し、朝日軍は自然消滅したためだ。日系人は収容所に入れられた。

 テッドさんは、現地を取材し、記録と記憶の断片を集め、今年5月、「バンクーバー朝日軍〜伝説の日系人チームその栄光の歴史」(1470円、文芸社)を自費出版した。「北米では無名だった東京ジャイアンツは、バンクーバー朝日軍への熱狂的な応援の前で試合を経験し、プロ意識を刺激されたと思う。お互いの目標が、打倒メジャーリーグだった。そこには、大和魂、武士道精神があった」そしてサムライJAPANに対して、「大和魂とはフェアプレー、武士道精神とはスポーツマンシップです」とメッセージを送った。

 駐米大使の経験を持つNPB(日本プロフェッショナル野球組織)・加藤良三コミッショナー(67)は「バンクーバーを含めて、北米大陸の野球の歴史は深い。米国の球界は、きっちりとその歴史認識ができている。日本の球界は、もっと自らの原点、歴史を勉強し、検証しなければなりません」とテッドさんにエールを送り返した。

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http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081122-OHT1T00082.htm