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2008年11月22日(土) 23時43分

【元厚生次官ら連続殺傷】パトカー集結し車囲む 騒然としたなか鑑識活動 産経新聞

 「次官を刺した」。元厚生次官ら連続殺傷事件は22日午後9時40分すぎ、東京・霞が関の警視庁に軽乗用車で乗り付けた男が、取り囲んだ警察官にそう言い放ったことで新たな局面を迎えた。

 ピンク色の軽自動車は川越ナンバーのレンタカー。軽自動車は警視庁の正面玄関前の歩道に乗り上げる形で停車。けたたましいサイレンの音で異変に気付いた警視庁内にいた担当記者が駆けつけたときには、すでに男は麹町署に連行されており、警察官同士が「身柄は麹町署」だなどと報告し合っていた。

 車両左側のドアが2つとも開いた状態。後部座席には粘着テープで閉じられた段ボール箱2箱が置かれていた。機動隊のバスやパトカー、白バイが続々と集結し、車を取り囲むように配置された。歩道には規制線のテープが張られ、車を中心に約100メートルの長さにわたって立ち入り禁止になった。中に残っていた報道陣に警察官が「外に出て」と慌ただしく指示を出した。

 車にはすぐにブルーシートがかけられ、周囲から中がうかがえない状態に。鑑識資材を持った捜査員が車内に入り、ライトで中を照らすなどしながら鑑識活動を始めた。

 歩道脇の石垣に上って写真を撮影しようとするカメラマンに警察官が「降りて、降りて」と制止するなど現場は物々しい雰囲気になった。

 出頭の一報を受け、麹町署には、カメラマンら20人が集まり、署内には報道陣30人近くが集まった。警視庁の捜査1課長ら幹部も続々、署に到着。報道陣の問いかけに、「何も分からない」と大声で話し、早足で階段を駆け上がったていった。

 署から出てきた警備部幹部は「今続けてる警備は継続する。犯人かどうかは全く分からない」と話した。

 さいたま市と東京都中野区で3人が死傷した連続殺傷事件は、犯人が宅配業者を装うなど用意周到に自宅内に侵入。傷の状況から犯人が凶器の刃物を振り下ろして襲撃し、被害者の肋骨(ろっこつ)が砕けるなど残忍な犯行だった。

 両事件とも片刃の短刀のような形状の同種の刃物が使われた可能性が高い。刃こぼれせず、刃先も折れずに肋骨を砕いていることから、硬い材質の極めて殺傷能力の高い刃物とみられることから、警視庁と埼玉県警は強い殺意を裏付けるものとみている。



 東京・霞が関の厚生労働省。犯人出頭との一報に、大臣官房のある幹部は「テレビで知った。驚いた。ただ犯人と決まったわけではないので、捜査の推移を見守りたい」と緊張した声で語った。

 庁舎は休日とあって職員はまばら。事件について対応している人事担当の幹部の電話は話し中のままで、幹部同士で連絡を取っているようだった。

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