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2008年11月22日(土) 22時36分

<元次官宅襲撃>「次官殺した」男出頭…車内に血痕 警視庁毎日新聞

 22日午後9時37分ごろ、東京都千代田区霞が関2の警視庁本部庁舎玄関に男が軽乗用車で乗り付けた。男は、警戒中だった機動隊員に「事務次官を殺した」と話したという。車内に血痕があり、バッグの中に刃物を持っていたことから銃刀法違反の疑いで身柄を確保した。警視庁麹町署に移し、元厚生事務次官宅連続襲撃事件と関連があるかどうか慎重に事情を聴いている。

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 関係者によると、男は「コイズミツヨシ」「46歳」と話しており、「タケシ」との情報もある。軽乗用車は川越ナンバーのレンタカーだった。車内にはナイフのほかスニーカーなどがあった。

 事件は今月18日に発覚した。同日午前10時15分ごろ、さいたま市南区の元同省事務次官、山口剛彦さん(66)方で、山口さんと妻美知子さん(61)が胸などを刺されて死亡しているのを親せきが見つけた。約8時間後には東京都中野区の元事務次官、吉原健二さん(76)宅で、妻靖子さん(72)が宅配業者を装った男に刃物で刺されて重傷を負った。

 靖子さんは自分を刺した男を「30〜40歳」と証言。その後の調べで、山口さん方の玄関に印鑑が落ちていたことが分かり、さいたま事件でも犯人が宅配業者を装っていた可能性が浮上した。いずれの事件も夕方の時間帯に起きたとみられるほか、凶器に刃物が使われるなど、手口に共通点が多いことから、警視庁と埼玉県警は共同で捜査を進めていた。

 山口さんと吉原さんは、旧厚生省時代にともに年金局長を務めるなど、経歴に共通点が多く、現在の年金制度の骨格を作った85年の制度改正にも携わっていた。このため、事件直後から背景に年金制度への不満があるとの見方も出ていた。

 厚生労働省は事件翌日から、金属探知機を使って本庁に出入りする一般来庁者の所持品を検査するなど警備を強化。各地の警察も管内に住む厚生労働省の歴代幹部らの自宅周辺を24時間体制で警備するなど、警戒を強めていた。

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