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2008年11月22日(土) 22時59分

【元厚生次官ら連続殺傷】先見えぬ厳戒態勢 警視庁は機動隊投入、さいたまは捜査員2倍に産経新聞

 元厚生次官ら連続殺傷事件を受け、「第3の犯行」を防ぐため警察当局による厚生労働省幹部宅などの警戒が続いている。警視庁は22日、24時間態勢で警備にあたる各警察署の負担を減らすため機動隊の現場投入を始めた。埼玉県警は連休に合わせて捜査員を通常の2倍に増やし、聞き込みに歩いた。「犯人像や動機が絞れないだけに態勢を縮小することができない」(警視庁幹部)。先が見えないなか、必死の捜査が続く。

 警戒の対象は次官、社会保険庁長官経験者や現役幹部のほか年金業務に携わる財務省幹部などで、都内だけでも約80カ所と事件関連の警備としては異例の広範囲に及ぶ。

 警視庁では、各警察署が、それぞれの自宅に警察官を常時配置する方法と、定期的に立ち寄る方法とを使い分け警戒。普段から在外公館の警備などを担当する警備部が、各署に「危機を見逃さない立ち位置」などの警備ノウハウを提供する徹底ぶりだ。

 交番勤務などの地域課員を中心に警戒しているが、通常業務に穴を空けないようにしながら終日警備を続けるには人手が足りず、刑事や生活安全部門の捜査員も駆り出す「署員総ぐるみ」(警視庁幹部)の取り組みになっている署もあるという。さらに、警察当局は社会保険事務所や他官庁の警備も要請されている。

 そこで警視庁は、22日から機動隊を警備対象が多い署に投入した。警戒を肩代わりして署の負担を軽減することで、集中力の維持を図る。

 署幹部は「手を抜けないのは当然だが、先行きが見えない中で続けていくのは簡単ではない。結局は、早く犯人を逮捕するしかないということだ」と話している。

 一方、山口剛彦さんと妻、美知子さん殺害事件を捜査している埼玉県警の浦和署捜査本部は3連休に入った22日、捜査員をこれまでの2倍の約300人に増員、異例の大規模な体制で捜査に当たった。

 埼玉県警で、これほどの大規模な捜査を行うのは、宮崎勤元死刑囚=執行=による幼女連続誘拐殺人事件(昭和63〜平成元年)や、愛犬家連続殺人事件(5年)以来だという。

 増員された捜査員の多くは、さいたま市南区の山口さん宅周辺などの聞き込み捜査に当たり、不審車両や不審者に関する目撃情報の収集を熱心に続けた。

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