政府は二十二日、イラク復興支援特別措置法に基づきイラクで米軍の兵員や物資などを空輸している航空自衛隊部隊を年内に撤収させるため、今月二十八日にも関係閣僚による安全保障会議を経て、撤収命令を出す方針を固めた。
二〇〇六年の陸上自衛隊のイラク撤収以降も活動を続けていた空自の撤収で、〇四年に始まったイラクでの自衛隊活動は終了する。政府は今後、インド洋での海上自衛隊による給油活動継続などアフガニスタンの復興支援に注力する考えだ。
空自は〇四年三月から空輸活動を開始。現地部隊は約二百人、Ｃ１３０輸送機三機で、クウェートの空軍基地を拠点に活動。現在はバグダッド空港などイラクの三空港に米軍など多国籍軍や国連の要員、物資を空輸している。十一月十九日現在で輸送の回数は八百六回、総量は約六百七十トン。
命令後、部隊は輸送業務に当たりながら撤収準備に入り、十二月下旬に本隊が帰国する見込み。隊舎などをクウェート軍に引き渡す手続きを取るため、一部隊員は年明けまで現地にとどまる。
浜田靖一防衛相は現地隊員を激励するため今月下旬のクウェート入りを一時検討。しかし麻生太郎首相が衆院解散・総選挙を先送りすると示唆したことに反発した民主党が、参院で審議中の新テロ対策特別措置法改正案の早期成立を阻止。国会対策を優先してクウェート入りを断念した。