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2008年11月22日(土) 19時55分

「勝手に名簿載せるな」 裁判員反対、各地でデモ中国新聞

 来年五月から始まる裁判員制度に反対する弁護士や市民らが二十二日、仙台市、東京、福岡市で集会を開き、繁華街などをデモ行進した。反対行動は二月の日弁連会長選で制度廃止を主張した高山俊吉たかやま・しゅんきち弁護士らが呼び掛けた。二十八日に裁判員候補者名簿に記載された人へ通知が送付されるため「通知が届いたら、勝手に名簿へ載せたと抗議しよう」などと訴えた。

 約六百人が参加した東京都千代田区の集会で、新潟県弁護士会の高島章たかしま・あきら弁護士は「人を死刑にする権力を国民に担わせる制度だ」と批判し、漫画家の蛭子能収えびす・よしかずさんも「自由を束縛するので反対」と指摘。自営業者から「店がつぶれてしまう」と懸念する声が上がった。

 その後、約二百五十人が銀座などをデモし「裁くことを押しつけるな」などと声を張り上げた。

 福岡市中央区天神の公園には弁護士や市民団体メンバーら約三十人が集合。大分県豊後大野市の益永スミコますなが・すみこさん(85)は「いや応なしに集められ死ぬまで秘密を守らせる制度は戦中と同じ。もうあんな思いはしたくない」と話した。制度をPRする検察庁のキャラクター「サイバンインコ」に対抗した着ぐるみ「裁判員制度はいらんインコ」も登場。参加者と一緒に天神をデモした。

 仙台市の弁護士会館に集まったのは約九十人。東北大の小田中聡樹おだなか・としき名誉教授は「裁判官らが主導・管理する司法に国民を強制的に動員し、被告に裁判の受け入れを強制する巧妙なシステムだ」と批判した。元被告の男性も壇上に立ち「裁判員制度は最初から争点を整理するが、当事者が自分の言葉で語り真相を解明することが大事。犯罪者を減らすことも真相解明もできない」と述べた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811220254.html