記事登録
2008年11月21日(金) 17時27分

中国版“原野商法”が多発…高齢者狙い、暴動に発展スポーツ報知

 中国で架空の林業投資名目に、高齢者らから資金を集める大型詐欺事件が相次いで発生。“原野商法”の被害者は、10月に裁判が始まった2件だけでも計5万3000人以上、被害額は計約30億元(約416億円)に上り、暴動に発展するなど社会問題化している。

 幹部28人が起訴された木材業者「億霖木業」は、2004年4月から06年6月にかけ、林地を購入すれば、数年後には育った木の販売で巨額の利益が得られる上、緑を子孫に残せて環境問題で貢献できると勧誘。

 さらに知人にも投資させれば報酬が得られるとして、ねずみ講方式で顧客を増やし、2年余りで2万3000人以上が林地約270平方キロを購入した。だが多くの土地は木が育たない荒れ地や、時には湖の底だった。

 短期間で多くの被害者が出た背景には、アジア通貨危機後の長期にわたる低金利がある。1996年8月には7・47%だった金利が、04年10月には2・25%。中国は年金制度が整備途上で、老後に不安を抱える高齢者が「銀行では増えないし、株は不安だし。確実に利益が出ると言われ信じた」(被害者の1人)と、退職金をつぎ込んだ。

 新華社電によると、公安省が立件した投資や出資詐欺は、07年1年間だけで約2060件、被害額は156億元。被害者の抗議行動を恐れた当局は、北京五輪期間中、億霖の被害者代表宅前に公安当局者を張り付かせた上、被害者数人を拘束して封じ込めた。

 だが香港の人権団体によると、五輪が終わり、9月下旬には浙江省麗水市で違法出資事件の被害者1万人が抗議活動を行い警官隊と衝突するなど、各地で混乱する事態となっている。(共同)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081121-OHT1T00228.htm