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2008年11月21日(金) 06時02分

殺虫剤「私が入れた」!「もち吉」従業員が自殺スポーツ報知

 福岡県直方市の米菓会社「もち吉」が製造・販売した和菓子「えん餅」から高濃度の殺虫剤成分フェニトロチオンが検出された問題で、同社の40代の男性従業員が19日に自殺していたことが20日、分かった。従業員は19日早朝、「薬剤を入れました。申し訳ありません」と混入への関与を示唆する文書を、同社あてにファクスで送っていた。文書には、職場の人間関係に悩んでいた様子も記されていたという。

 もち吉によると、従業員からの謝罪文がファクスで届いたのは、19日の午前6時ごろ。手書きの文章には「私が薬剤を入れた。ここまで騒ぎが大きくなるとは思わなかった。殺意はなかった。結果の重大さを身にしみて感じている。申し訳ありません」と、殺虫剤混入を“自供”する内容が記されていた。

 約2時間後、出社した別の従業員がこのファクスを発見。ファクスを送った従業員が出社してこなかったため、連絡を受けた直方署員らが行方を捜したところ、同日午前、同県飯塚市内の山中で首をつって死んでいるのが遺書とともに見つかった。県警は自殺と断定している。

 ファクスには「コミュニケーション不足で居場所がないと思うようになった。仕事になじめなかった」と、職場での人間関係に悩んでいた様子もつづられていた。

 もち吉によると、自殺した従業員は正社員。02年から包装工程を担当していたが、06年1月に自ら希望して、菓子の製造ラインで「えん餅」のあん作りの担当に配置換えになった。18日までは通常通り勤務していたという。同社は、従業員の人間関係については「調査中」としている。

 同社の宮越博昭常務は「状況から、この(自殺した)従業員が混入したと考えている」と話した。県警は、謝罪文の提出を受け、自殺の動機や殺虫剤混入との関連などを調べている。

 県などによると、10月29日に製造された「えん餅」のあんから、食品衛生法で定める基準値の約7000倍にあたる殺虫剤成分フェニトロチオンが検出され、同社は11月15日に「えん餅」の生産を停止し、回収を進めていた。健康被害などは確認されていない。

 県はこれまで「包装までの工程で故意か過失で混入した可能性が高い」とみており、県警も偽計業務妨害容疑などで捜査を進めていた。

 ◆もち吉 1929年創業の米菓製造・販売会社。本社は福岡県直方市。全国に181店舗(今年2月末現在)の直営店を構えるほか、インターネットストアも幅広く展開。各種せんべいの詰め合わせのほか、あられをチョコレートでコーティングした「ちょこあられ」などが人気。従業員数は1464人。(以上、同社ホームページより)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081121-OHT1T00071.htm