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2008年11月21日(金) 06時02分

麻生首相発言に異論反論続出スポーツ報知

「医師批判発言」を撤回し、記者会見で質問に答える麻生首相

 “迷言”を連発する麻生太郎首相(68)に、自民党内からも厳しい視線が向けられている。「(医師は)社会常識が欠落している人が多い」と発言したことについて20日、舛添要一厚労相(59)は「誤解を招く発言は、気を付けた方がいい」と苦言を呈した。さらに、道路特定財源の一般財源化や、郵政会社の株売却凍結発言にも党内から反発の声が噴出。就任2か月にして、早くも「賞味期限切れ」なのか。

 迷走を続ける麻生首相が炎上した。まず、火の手が上がったのは身内も身内の閣僚から。「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」との発言に、舛添厚労相は「勤務医は現場で悲鳴を上げながら頑張っている」とピシャリ。「医師不足、医療崩壊対策に全力を挙げているので、政府の姿勢を示すためにも、誤解を招く発言は気を付けられた方がいい」と言葉を選びながらも苦言を呈した。

 20日午後、自民党の貴重な票田でもある日本医師会の唐沢祥人会長が、抗議のため官邸を訪問。総選挙での支援態勢にも影響しかねない状況に、首相は「すみません」とあらためて謝罪したという。

 日本郵政グループの株売却凍結に関連する郵政民営化の見直し発言も、激しくかみつかれた。小泉改革路線の旗振り役を自任する中川秀直元幹事長は、党内最大派閥の町村派の会合で「われわれがやってきたことの全否定になる」と反論。「断固、許してはならない」と息巻いた。

 首相へのダメ出しは、さらに続く。来年度の道路特定財源の一般財源化での配分をめぐる発言に、道路族が激高。山本有二道路調査会長は「麻生首相はしばしば、お言葉を間違えることがある」と小バカにしたような発言を、公然と口にした。

 政治ジャーナリストの山村明義氏は「自民党内では『漢字も読み方も知らないのか』と、首相を見下し始める議員が増えてきている」と話す。

 衆院解散の先送りに始まり、定額給付金の迷走劇を経て、果ては問題発言の連発。「漢字の誤読はあくまでも副次的要素ですが、首相が政策の中身を理解し切っているように見えず、『この人で大丈夫なのか』『選挙に勝てるのか』という疑心暗鬼が広がっている」と指摘した。

 四方八方からのブーイングに屈したのか、麻生首相は20日の記者会見で、道路財源の配分や郵政民営化の見直しについての自身の発言を修正。1日でトーンダウンした。

 「口は災いのもと」を地で行く首相を、民主党幹部は「こっちは何も言わないのに勝手に転ぶ、漫画みたいな人だ。このままでは(祖父の吉田茂元首相の)『バカヤロー解散』じゃなくて、バカヤローの解散だ」と酷評していた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081121-OHT1T00069.htm