記事登録
2008年11月21日(金) 00時00分

遺体発見「声掛けられず」  元次官夫妻殺害 隣の親類語る読売新聞

報道陣の影が伸びるなか、山口元次官宅前で警備をする県警の警察官(20日午前8時、さいたま市で)=松田賢一撮影

 元厚生事務次官の山口剛彦さん(66)夫妻が殺害された事件で、さいたま市南区別所の山口さん宅の隣に住む親類の松井勝利さん(69)は20日夜、夫妻の遺体を最初に発見した様子を生々しく語った。

 松井さんとの一問一答は次の通り。

 ——最初に発見した経緯は。

 18日午前8時〜8時半、普段、開いている(山口さん宅の)雨戸が朝、開かないなど、ちょっと、なんか違うなと(感じた)。朝食後、(山口さん宅の)1階の流し(台所)の蛍光灯がついているのが見えた。「起きているんだな」と思った。雨戸が開いていないので旅行にでも行っているのかと思った。よくあることだから。不思議だと思ったが、深刻には思っていなかった。その後、山口さん宅へ電話したが出ない。美知子さんの携帯電話も出ない。剛彦さんもやっぱり出ない。(電話があったと)気づけば(折り返し)電話があると思った。

 外灯がついているのが見え、「普段と相当違うな」という印象が強くなった。何かあるのでは、と思った。(山口さん夫妻が)いるかどうかを確認するため、(外から)台所を見たが姿がなかった。リビングにパソコンが起動してる状態に見えた。何か妙だなという感じだった。

 午前9時半か午前10時ごろに(私は)洗濯とかして、(山口さん宅の)雨戸を開けて中を見ると人がいない。テレビがつけっぱなしになっている。洗濯物が干していない。外灯はついている。普段、玄関のドアはカギがかかっているはず。(玄関に回ると)ドアの下に赤いペンキのようなものが見えた。ドアを開けたら、右側に剛彦さんが倒れているのが目に入った。左に美知子さんがいた。

 ——どんな状態だったか。

 美知子さんは、何か(頭に)巻いているように見えた。タオルというか……。頭髪を隠すような。普段もそういう格好していた。動転して、声をかける勇気はなかった。怖くてドアを閉めた。奥まで見る余裕はなかった。自宅へ戻って110番した。私は門扉を開けたか閉めたかとか、死体を見てから皆目意識の中にはない。終わりの方は記憶があいまいだ。

 ——前日の17日におかしなことはなかったか。

 まったくありません。美知子さんには、午前11時頃、近くで会った。数日前も夫婦2人でハイキングに行き、お土産を買ってきてくれた。お互い、体の異変については協力して助け合いましょうと話していた。

 ——物音などは聞いたか。

 異常なものは感じていない。

 ——危険を感じると話していたことは。

 一度もない。

[特集]元次官宅連続テロ

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20081120-OYT8T00855.htm