記事登録
2008年11月21日(金) 19時15分

「読み間違え」「軌道修正」「失言」 麻生首相の「満身創痍状態」J-CASTニュース

 麻生首相の相次ぐ漢字のいい間違いに続いて、「得意技」とも言える失言が加速している。野党からの批判はもちろん「身内中の身内」である閣僚からも苦言が相次ぐ。支持率低下も目立ち、もはや満身創痍ともいえる状況に限りなく近い。

■トウシュウ、ミゾウユウってどんな漢字?

 麻生首相の最近の「読み間違え例」をざっと見てみただけでも、こんな具合だ。

 10月15日の参院予算委員会で、社民党の福島みずほ党首が、いわゆる河野談話について「踏襲されますか」とただしたところ、

  「政府の基本的立場というのは、現在も平成5年8月15日の河野官房長官談話をフシュウ(正しくはトウシュウ)するというものであります」

と答弁。11月17日の衆院本会議でも、

  「私は基本的に、フシュウして参ります」

と述べている。

 11月12日には、四川省の地震について

  「ミゾウユウ(未曾有)の自然災害を乗り越え…」

と述べたほか、同スピーチ内で

  「1年のうちに、これだけハンザツ(頻繁)に両首脳が往来したのは、日中関係史上過去に例がありません」

 記者団に一連の読み違いを指摘されても、麻生首相は

  「そうですか、それは単なる読み間違い、もしくは勘違い」

と、憮然として答えるのみだった。

 11月19日から20日にかけては、首相就任前から危惧されていた「失言」と「軌道修正」が相次いだ。19 日には、道路特定財源を地方交付税として配分することを明言したが、翌20日には「自由に使えるなら何でもいい。交付税じゃなくてもかまわない」と修正。同日夜には、「軌道修正」との見方を否定した上で、「地方が一番使いやすいお金って何だと思う?」と記者に逆質問。記者が「地方交付税」と答えると、「それが答え」と言って、別の話題に移った。

 また、2010年には上場、売却を目指している日本郵政グループ株についても「凍結すべき」と主張、後に「安いときには売らない、ということ」と釈明を迫られた。

■「国民の皆様に誤解のないようにご発言いただかないと」

 それ以外にも、19日には医師について「社会的な常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言。その後「まともなお医者さんが不快な思いをしたと言うのであれば、申し訳ない」と述べたが、それでも事態は収束せず、20日には日本医師会の唐沢祥人会長が官邸を訪れて抗議。麻生首相は「言葉の使い方が不適切だった」として発言を撤回、謝罪した。

 21日になっても、「身内中の身内」であるはずの閣僚から苦言が相次いだ。

  「やはり、少し言葉が足らないのか、という気もする。総理という立場もありますし、国民の皆様に誤解のないようにご発言いただかないと」(小渕少子化担当相)
  「あの発言は不適切だったのではないか。しっかりと、われわれの本意が伝わるような表現をしなければ」(斉藤環境相)
  「話をおもしろく、分かりやすくしようとして、若干適切さを欠く発言をしてしまうことがある」(森法相)

 これらの背景について、浅野史郎・前宮城県知事は、

  「医師についての発言と、道路などの政策の話とは、次元がまったく違う」

とした上で、「医師発言」については、

  「発言があったのは、全国知事会という場。麻生さんはかつて(全国の知事を束ねる)総務大臣という立場にあった。いわば昔の仲間なので、気安さがあったのでは。こういう場面があぶない」

と、脇の甘さを指摘した上で、道路財源や株売却関連の発言については

  「元々キチッと決めて言わなかったのが問題。はっきり言って、政策を理解していないということが露呈してしまった」

と、「政策についての不勉強」が元凶だとの見方を示した。

 麻生首相は現在、ペルーで行われるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談のため日本を離れているが、帰国後も逆風はやみそうもない。


■関連記事
麻生経済政策は「古典的」 NYタイムズが酷評 : 2008/09/19
首相の「村山談話継承」発言 ネット麻生ファンに失望感噴出 : 2008/10/03
ラサール石井、ブログで「麻生批判」 バッシング受けてすぐに削除 : 2008/11/13
ラサール石井のネット騒動 「これが炎上というものか」 : 2008/11/17
社長激怒!「会社裏サイト」バレちゃった… : 2008/11/21

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081121-00000001-jct-soci