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2008年11月20日(木) 14時33分

元次官夫婦殺害、台所に血の付いた足跡…犯人が室内侵入?読売新聞

 元厚生次官宅襲撃事件で、さいたま市南区の自宅で山口剛彦さん(66)と妻美知子さん(61)が殺害されているのが見つかった玄関以外に、台所などにも血の付いた足跡が残っていたことがわかった。

 東京都中野区の吉原健二さん(76)宅で、妻靖子さん(72)が襲われた玄関につながる廊下などにも、少量の血痕が付着していた。両事件とも、室内から金目のものが奪われた形跡はなかった。埼玉県警と警視庁は、犯人が室内に上がり込んだとみて、その目的を調べるため、ほかの部屋についても検証を進めている。

 捜査幹部によると、山口さん夫妻が18日朝、殺害されているのが見つかったのは自宅玄関の土間。犯人のものとみられる血の付いた足跡は、玄関から外に続いていたほか、室内の台所、ダイニングルームにかけて見つかった。

 台所の食器棚の引き出しが乱雑に開けられたままになるなど物色されたような形跡はあったが、ダイニングテーブルのそばにあった美知子さんのバッグは手付かずのまま放置されていた。

 同県警内には、これについて〈1〉強盗を装うために物色した〈2〉室内に他に人がいないか確認するために上がり込んだ——などの見方が出ている。

 また、17日午後5時51分に山口さんの携帯電話から美知子さんの携帯電話に発信があったことも確認された。同5時38分に近くのスーパーで買い物をしたレシートが自宅で見つかり、店員が美知子さんを確認していたことから、山口さんが外出中の美知子さんに連絡を取ったと見られる。

 山口さん夫妻は刃渡り16センチ以上の片刃の刃物で刺されたとみられているが、2人とも肋骨(ろっこつ)を砕かれ、刃が心臓まで達していたことも、捜査幹部の話でわかった。刃はいずれも下向きだった。県警は、かなり硬い材質の刃物だったとみている。また、司法解剖で、夫妻の死亡推定時刻は「17日夜の比較的早い時間帯」とされた。

 捜査幹部によると、ダイニングテーブルには、夕食とみられる数点のおかずが残されていた。台所には、盛りつけ前のご飯とみそ汁があった。県警が夫妻の胃の内容物を分析したところ、2人とも夕食前だったとみられる。

 一方、警視庁関係者によると、吉原さん宅で血痕が見つかったのは、玄関に続く廊下と室内の床。血痕は少量で室内に血だまりなどはなく、壁にも付着していなかった。

 靖子さんは18日午後6時30分すぎ、宅配便業者を装った男に玄関先に呼び出された後、突然、刃物で刺され、玄関の外で倒れているところを通行人に保護された。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081118-5344510/news/20081120-OYT1T00447.htm