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2008年11月20日(木) 22時06分

父親「悔しさや憎しみ今も」 あいりちゃん殺害3年中国新聞

 広島市で小学一年木下きのしたあいりちゃん=当時(7)=が殺害された事件が二十二日で三年を迎えるのを前に、父親の建一けんいちさん(41)が二十日までに共同通信の取材に応じ「(時の流れを)非常に早く感じるが、悔しさや憎しみは変わらない」などと、今も癒やされない思いを語った。

 小学二年に成長した弟(7)を見て「あいりは四年生か。どれくらい大きくなっていたのかな」と想像してしまう。あの事件さえなければ、今も仲良く姉弟で遊んでいるはずなのに。「残念だし、悔しい」

 昨年十一月に始まった控訴審が結審した今年七月末。まな娘が事件当日持っていたノートなど遺品六十点が、広島高検から返却された。

 自由帳を開くと、小さな左右の手のひらをかたどって鉛筆で描いた絵があった。「残してくれて、うれしい」。そっと自分の手を重ねてみた。

 「あいりをどう誘い、なぜ彼女だったのか」。真実を知りたい一心で、遺影を抱いて傍聴してきた裁判も、来月九日に二回目の判決を迎える。ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)は「悪魔に支配された」と繰り返し、納得できる答えはついに得られなかった。

 意見陳述で極刑を求めた建一さんだが、「たとえ合法的でも彼の命を奪うことになれば、わたしのせいかもしれない」と、胸中で葛藤かっとうがあるという。「本来はあいりの命と同じ価値のはず」。それを証明するため、被告が心から反省し、罪を償うよう願っている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200264.html