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2008年11月20日(木) 22時06分

医師批判発言を陳謝 日医会長の抗議受け中国新聞

 麻生太郎首相は二十日午後、日本医師会(日医)の唐沢祥人からさわ・よしひと会長と官邸で会い「医師は社会常識がかなり欠落している人が多い」との自身の発言について陳謝し、撤回した。唐沢氏が「耐え難い環境で医療現場を懸命に守る医師の真摯しんしな努力を踏みにじるもので、奈落の底に突き落とされた思いだ」と抗議。首相は「言葉の使い方が不適切だった。発言を撤回し、謝罪する」と述べた。

 自民党を支持する有力団体からの抗議で発言の陳謝と撤回を余儀なくされ、首相の軽率な言動があらためて浮き彫りになった。日医内には「何が何でも自民党を支えるわけではない」(中川俊男なかがわ・としお常任理事)との意見があり、衆院解散・総選挙に向け支援態勢にも影響しかねない状況だ。

 面会は日医側が要求した。同席した竹嶋康弘たけしま・やすひろ副会長によると、唐沢会長が「特定の職業を名指しして、根拠なしに差別するものであり、激しい憤りを禁じ得ない」「日本の医療を根底から否定するものだ」とする抗議文を読み上げ、首相に手渡した。

 首相は十九日の全国知事会議で、医師不足に関し「(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言。その後「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ない」と述べたが、日医には首相発言に対し、会員からメールなどで数十件の抗議が寄せられたという。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200263.html