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2008年11月20日(木) 21時42分

担当医、二審も無罪 4歳児割りばし死亡事故中国新聞

 東京都杉並区で一九九九年、割りばしがのどに刺さった保育園児杉野隼三すぎの・しゅんぞうちゃん=当時(4)=が杏林大病院(東京都三鷹市)での受診後に死亡した事故をめぐり、適切な診療を怠ったとして業務上過失致死罪に問われた当時の担当医根本英樹ねもと・ひでき被告(40)の控訴審判決で、東京高裁は二十日、一審同様に無罪とし、検察側の控訴を棄却した。

 阿部文洋あべ・ふみひろ裁判長は、診察に過失はなかったと判断。「割りばしが頭の中まで刺さり、負傷したと想定するのは極めて困難。十分な検査をしていたとしても、救命や延命が確実に可能だったとはいえない」と述べた。

 一審判決は、医療ミスを認めた上で死亡との因果関係を否定して無罪と判断。両親が根本医師らに賠償を求めた民事訴訟では当時の医療水準などを基に過失を認めず請求を棄却していた。無罪を示す司法判断は三度目となり、医療行為に対する刑事責任追及をめぐる議論に影響を与えそうだ。

 判決によると、隼三ちゃんは九九年七月十日、杉並区内の盆踊り大会会場で転倒、綿菓子の割りばしがのどを貫き、脳に刺さった。搬送された杏林大病院の救命救急センターで、耳鼻咽喉いんこう科の当直だった根本医師は傷口に消毒薬を塗って帰宅させた。隼三ちゃんは翌日、容体が変わり死亡。司法解剖の結果、頭蓋ずがい内に七センチ余の割りばしが見つかった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200269.html