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2008年11月20日(木) 00時11分

首相、慎重さに「鈍感」批判も 連続殺傷に憤り希薄中国新聞

 元厚生次官ら連続殺傷事件に対する麻生太郎首相の慎重姿勢が目立っている。同一犯による「テロ」の可能性があるにもかかわらず、首相の言動には卑劣な行為に対する非難や憤りが希薄で「政治的目的を持った暴力への感覚が鈍感過ぎる」との批判も出そうだ。

 首相は事件を受け十九日午前、記者団のぶら下がり取材に応じたが「単なる傷害、殺人事件なのか、そうではないのか。それ以上のことは分からない段階でコメントはできない」と述べるにとどまった。夜になって、やっと「テロなら断固とした措置を取る」と表明したものの「出遅れ」感は否めなかった。

 十八日夜、山口剛彦さん夫妻殺害に続き、吉原健二さんの夫人襲撃の報告を受けた首相は、直ちに漆間巌官房副長官に徹底捜査と警戒強化を指示した。しかし、出席者によると、首相はこの後、ホテルのバーに向かおうとして周囲から「今日は犠牲者が出ているので帰った方がいい」と制されたといい当初、首相の認識が甘かったことをうかがわせる。

 二〇〇七年四月、長崎市長が射殺された際、当時の安倍晋三首相が「真相究明を望む」などとしかコメントしなかったため、野党から「政治家が撃たれたことへの危機感が感じられない」と批判を浴びた例もある。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200105.html