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2008年11月20日(木) 00時11分

郵政民営化計画を見直し 首相「もうかる制度に」中国新聞

 麻生太郎首相は十九日、日本郵政グループ各社の株式売却を凍結し、小泉純一郎元首相が推進した郵政民営化計画を見直す考えを表明した。これに合わせ自民党は凍結の方向で調整入り。衆院総務委員会で民主、社民、国民新の三党が提出した凍結法案の修正を目指す一方、合意できない場合は来年の通常国会に与党案提出を検討する。

 首相は同日夜、官邸で記者団に「株は高くなったときに売る。凍結した方がいいでしょう」と表明。同時に「民間になった会社が、もうかるような制度にもう一回考え直す必要がある」と述べ、制度改正の必要性を指摘した。ただ「また国営化とは違う」と民営化の方向は維持することを明言した。

 政府、自民党の一部では、民営化四会社のうち経営状況が比較的厳しい郵便事業会社と郵便局会社を一体化する案などが浮上しており、これらが首相の念頭にあるとみられる。

 自民党には、売却を当面凍結し「見直し」姿勢を示すことで、次期衆院選に向け、かつての支持組織だった全国郵便局長会などの支援を得たいとの思惑がある。しかし「小泉構造改革」推進派を中心に党内の反発は必至。中川秀直元幹事長は記者団に「断固反対する。絶対に許さない」と強調した。

 これに関連し、自民党の大島理森国対委員長は十九日、郵政民営化見直しを掲げる国民新党の糸川正晃国対委員長と国会内で会談。糸川氏によると大島氏は、参院を通過し衆院で継続審議となっている野党案の修正を検討していることを伝え、野党が修正を受け入れない場合は否決する方針を表明。その上で、否決した場合でも与党案を通常国会に提出する考えを示したという。

 郵政民営化関連法では、二〇〇七年十月から四会社に分かれて民営化したうち「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命保険」の二社の株式を一七年九月末までに処分することなどが定められており、一〇年度にも上場を予定している。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200811200118.html